短編

□涙の訳は。
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「それはね、お前は....」

孝宏は
すべて言い終わる前に
俺に優しくキスをしてきた。

唇を離して、
俺は孝宏に尋ねた。

「俺は...なに???」

すると孝宏はクスッと笑って

「ふふっ、残念だけど
健一には教えてあげない」

「な、なんでだよっ」

「今からお楽しみの時間
だからね...」

そう言って俺をベッドに
優しく押し倒した。

「好きだよ...健一...」

孝宏は俺の耳元で
甘く、ゆっくりと、
呪文のように
その言葉を繰り返した。

***********************

つぎのあさ。

「ん、んんー・・・・っ」

カーテンの隙間から漏れる
朝日が眩しくて、
俺は目を覚ました。

俺のすぐ隣では
まだ孝宏が甘い寝息を
たてていた。

「・・・夢じゃない、よな...」

小さく呟いてみた。

昨日の出来事が頭の中で
フラッシュバックする。

孝宏との甘い記憶。

孝宏の甘い声。

甘い痛み。

全てが.....本物。

俺が涙を溢した訳。

それは...

孝宏が愛しかったから。

孝宏がほしかったから。

だから...孝宏???

俺をずっと捕まえてて。

離れていかないで。

ずっと...そばにいて???


└あとがき
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