短編

□ひとりじめ
2ページ/5ページ




「ちょ、孝宏、何すんねやっ」

俺は健一の腕を引っ張って、スタジオ内のトイレに
押し込んだ。

「健一・・・ひとまず落ち着け」

「いや、そんな形相の孝宏に言われても
なんの説得力もないわ・・・」

「とにかくっ!!!お前は何がしたいんだ???」

「え???何の話???」

コイツ・・・あくまでもシラをきる気か。

「健一、お前はもう少し考えて行動しろよ。
で、何が目的な訳???」

「・・・・・・・・・・・。」

むー・・・・答えるつもりはないのか???

「け・ん・い・ち・く・ん???」

「・・・・・だって」

健一が小さな声でボソッと答えた。

「最近・・・仲ええやろ???」

「はい・・・??」

それは・・・・・

「それは・・・俺と松来、のことか??」

俯きがちにコクンと小さく頷く。

そんな健一が、とてつもなく可愛く見える。

「ヤキモチ・・・妬いてくれた訳ですか」

そう言った途端、耳まで真っ赤にする。

・・・・・かわいい。

とはいっても・・・・・・・

「アレはやっちゃマズイだろ....」

「ですよね・・・」

健一も流石に反省しているようだ。

「どうしよう・・・」

どうしようも何も、もう言ってしまったし。
後の祭りだ。

「と、とりあえず弁解に行こう!!!」

「え・・・でも・・・」

「このままほっといてもどうしようも
ないだろ。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「ほらっ、健一行くぞっ!!」

俺は健一の手を引いてトイレを出た。

向かう先は・・・・・・・

もちろん楽屋だ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ