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中二病
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痛さに目を覚まし暑苦しさも手伝って、気分は最悪だった。

枕元に無造作に置いてあるエアコンのリモコンを引っ掴むとスイッチを入れる。

設定温度は18℃だ。
エコなんてくそくらえ。

小さく舌打ちをしてからゴロリとベッドに横たわるが、体が痛くて眠気はすっかりどこかへいってしまっていた。
ここ数日頻繁にこういう事が起こって、正直俺は怯えていた。

もしかしたら何か病気をうつされたのかもしれないのだ。それも新しい新種の病気だ。
まだ断言はできないが、思い当たる節は多々ある。

じわじわと体の、骨の髄が痺れるような痛みは、まるで皮膚の下に虫がいて骨の上をうごめいているような、何とも言えない気持ち悪さを伴った。

もしかしたら俺は死ぬより恐ろしい病気にかかってしまったのかもしれない。


真っ暗闇の中でじっとりと背中に汗をかく。
ぎしぎしと体が音を立て、痛みは俺の自問自答に答えているかのようだった。


まだ俺、一度も女の子と付き合った事ないのに。
涙腺がゆるみそうになるのを懸命にこらえてきつく目をつぶれば、俺の大好きなみよちゃんの顔が瞼の裏に浮かぶ。
一度でいいから彼女のあのでっかいおっぱいを下から持ち上げてみたかった。無論、両手で。
違う部分が痛くなりそうだったのですぐさま頭の中からみよちゃんを追い出す。


今考えなければならないのは俺の体のことだ。俺は自身を勇めて寝返りを打った。

まぁ聞いて欲しい。
まずどこが一番痛いかって、部位は特定できないがとにかく全身が痛い。
死ぬほどの痛みではないが、継続してじわりじわりと体が悲鳴を上げる感じだ。
心なしか喉も痛い気がするし、声は1オクターブぐらい低くなった。

昼間はとにかくだるくてやる気が出ず、そのくせ、夜になると爛々と目がさえる。
異常に空腹感を覚えるが、食べても食べても満たされない。
太りもしない。
以上がおおまかな症状である。


そして俺の思い当たる感染症についてだが、これは俺の中ではかなり高い確率で発症していると確信している。

それはまだ誰にも言っていなかった。
なぜ誰にも言わないかといえば、言ったらきっと信じてもらえず笑われると思ったからだ。
頼むから笑わないで聞いて欲しい。






俺は吸血鬼に噛まれたのである。





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