うたプリ

□私を信じて下さい
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「うん、今日はこれくらいでいいかな?」


最近大きなCMのお仕事をもらったので、部屋に籠って作曲をすることが多くなった。
私の曲が皆さんのもとに届く。
そして聞いてもらえる、なんて素敵なことなんだろう。
そう考えるだけでやる気が出てくる。
あ、今いい音が舞い降りてきた。
急いでメモしなくては!
ガサガサと机をあさっていたら、五線譜ではなく、携帯が出てきた。
携帯を開くと、メールと着信が1件ずつ。
一つは友ちゃんからのメールだった。
また今度Aクラスのみなさんと集まってお茶をしようという内容だった。
そしてもう一つは。


「神宮寺さん!?」


着信がかかってきた時間は3時間も前のことだった。
その時は作曲に集中しようと思ってマナーモードにしていたので全く気付かなかった。
神宮寺さんの携帯へ電話をかけるけど、また繋がらなかった。
お仕事をもらってからというもの、このようにすれ違ってしまうことが多くなった。
神宮司さんはアイドルとして、私は作曲家として働いているので、どうしてもすれ違ってしまう。
やっぱり寂しい。
きっと今は仕事で電話に出られない。
分かっているけど、どうしてもかけなおしてしまう。
でてくれるかもしれないという期待を抱いて。
でも出てくれるのは神宮寺さんではなくて、いつも留守番センターばかり。
早く仕事を終わらせて神宮寺さんに会いたい。
神宮寺さんは、私がいなくて寂しいと思ってくれていますか……?


「はぁ」


ここでうじうじ悩んでいても仕方ないとはいえ、何もしていないと変なことを考え始めてしまう。
早く神宮寺さんに会うためにも、今日はもう少し遅くまで曲作りをしていよう。
そう思い作曲に取り掛かった。
そうして、私が寝たのは朝日が昇り始めたころだった。












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