イナズマ
□恋の料理
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包丁を握る。
鍋に必要な具を切る。
「痛ッ」
指からぷくっと血が出てきた。
それを水で流し、絆創膏を貼る。
「…はぁ」
これから綱海さんが来るというのにため息しか出ない。
理由はこの鍋料理にあった。
「久しぶりに立向居の料理食べたいな」
「…料理、ですか?」
「おう。だんだん寒くなってきたし鍋とか作れるか?」
「作れますけど…でも、俺ッ」
「お-い!練習始めるぞ!」
円堂さんの声にみんなが集まる。
「俺達も行くか。夜楽しみにしてるぜ」
そう言って練習を始めてしまった。
別に料理が苦手な訳ではなくて、むしろ好きだ。
だけどこの前綱海さんに作ってあげたら、これ以上は無理と言われてしまったのだ。
だからもう作ることはないと思ったのに。
もう失敗する訳にはいかない。
がんばらなきゃ……
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