イナズマ
□この想いなんて消えてしまってよ。
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「ムカつく」
あいつが俺を見ていない。
それが本当に腹立たしい。
しかもほとんど毎日だ。
いや、まあ恋人ではないから当たり前なんだけどね。
ただの友達という普通の関係。
それがたまらなく悔しい。
「半田!」
「なんだよマックス」
「今日一緒に帰ろうよ」
「別にいいけどなんかあるのか?」
「ひーみつ」
「なんだよ教えろよー」
「キスしてくれたら教えてあげてもいいよ」
「はあ!?ばっかじゃないのか」
「……ッ」
これ以上聞くのが辛くて耳をふさいだ。
なんで俺じゃなくてマックスなんだろうか。
なんで半田は俺のことを好きになってくれないのかな。
こうやって片思いをし続けるのは苦しいんだ。
悲しいんだ。
部活が終わってボールを片づける。
半田と二人で。
「今日も疲れたなー」
のんきに笑いながら一緒に倉庫まで運ぶ。
「……そうだな」
俺達はそれだけしか話さなかった。
話せなかった。
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