真理を追究する者

□闘いのアルテメ塔!
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「さぁ〜てさて、そろそろ宿に戻りましょうか。日も傾いてきたみたいですし、何よりあの飯テロで少々お腹の具合が……というわけでゼロス、魔力を頂戴な☆」

「…………。先ほどの『一番の理由』をお教えいただければさし上げます」


突っぱねるゼロスに、両手を広げて待ちの姿勢をとっていたノウンは……ふっと表情を消して目をそらした。


「……じゃ、結構です。私は先に戻ってますね。それでは」


そして、ふっと虚空に消える。

…………。

うーみゅ……ちっとはいつも通りに戻ってきたと思ったけど、やっぱしぎくしゃくしてるのはとれてないみたい。


それに……『一番の理由』ねえ……。


「おーっほっほっほ!どーやらわたくしに恐れおののき逃げ帰ったようね!」


何の脈絡もなく高笑いするマルチナは……たぶんノウンを二重人格と勘違いしたままなんでしょーけど……なんであいつも売り言葉に買い言葉してるのやら。


「ホント、なんであんたらケンカなんかしてるわけ?」

「してませんよ。気のせいじゃないですか?」

「あのままじゃノウンさんが可愛そうですよ。せっかくゼロスさんの代わりに頑張ったのに」

「はい?」


あー、やっぱしわかってなかったのね。


「あんたもニブいわね……あの言い伝えはゼロスがもってきたガセネタだったでしょ?ガセって解ってもなお逃げたり無視したりしなかったのって、あんたの代わりに責任負ったってことなんじゃないの?」


――おそらく、それがあいつの言ってた『一番の理由』。

興味ない、関係ないとあたしたちを見捨てようとさえするあいつなら、この件に関してもそうするに決まってる。

でもそうはしなかった……だったら、答えは今回の件以外――なんかわかんないけど疎遠になってるゼロス以外には思いつかない。

まったく……わかりやすいやつ。

ゼロスは一度いつもの笑みを消し――やがて、あさって向いてぽつりと、


「……そうなんですかね……?」


……おや……?


「きっとそうですよ!今すぐ戻って仲直りしましょう!」

「ですから、ケンカなんてしてませんてば……まあいずれにしても早く戻らなきゃいけませんが」

「え、なんでですか?」

「あの人、『宿に戻る』とは言ってましたけど、戻って何をするかは言ってませんでしたし……また面倒なことになる前に戻りませんと」


一人でてくてく丘を降りていくゼロスくん。


「わかってくれたんですかね?」

「……さあね」


曖昧に答えるあたし。

もしかしてあいつ……わかっててノウンから離れてるんじゃなかろうか。

『それはありませんよ』とか否定してこなかったし……妙な反応の仕方だったし……。


――そこで、ふとあたしは考えた。

二人って……どんな関係なの?


ノウンは『ゼロスは私の保護者みたいなもの』って言ってた。

『みたいなもの』だから、完全に保護者ではないらしい。

ゼロスの口からも、そこのところの明言は全くない。

ライバルとか、仲良しとか、勝手に想像してたけど、もしかしたら……


――二人が仲たがいしているのは……いや、すれ違ってるのは。

おそらくそういった、複雑な部分が分からなくなってるからなんじゃないだろうか。

そんなことを考えつつ、あたしはいつまでもクラゲやってるガウリイの後ろ頭をどつき倒すのだった。



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