真理を追究する者

□ドタバタの側で2
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「うう〜、頭痛い……」

「ノウンさん、もう朝ですよ。起きて下さい」

「あと5分……」

「1秒も待つかあぁぁぁ!!」


どげきょっ!







「早起きは三文の徳っていうけど、寝坊は時にマイナスに傾くのかもしれない」

「常にの間違いじゃないの?」


本物のたんこぶのっけて本に何かを書き込むノウン。

ほんとーにかなーり温厚な彼女は、あたしに文句の一つも言ってこなかった。

二日酔い状態の起き抜けに飛び蹴り食らったら、ふつーは小言の一つや二つ言うもんだけどね。いったいどこでどう育ったらこんな性格になるのやら。


「逆に二日酔いが覚めたかもしれない」


とか言ってたけど、神経ニブニブよね。ガウリイといい勝負だわ。

本に悪口書かれてるのかもしんないけど……横からのぞいても暗号だらけで何書いてるのかさっぱりだし、すぐ見せないようガードするし、まあいっか。

ちなみにお酒がダメと言っていたゼロスくん。


「いえ、普通に飲めるんですけど、あの独特の喉が熱くなったり頭が痛くなったりするのが嫌なだけですよ。あと無理やり飲まされるのもちょっと……」


言う割にぴんぴんした様子でノウンの横を歩いている。

まあ、そんなことはどーでもいいとして。

クレアバイブルの新たなる手掛かりを求めてセイルーンに向かうあたしたち。

その道中、気になる立て看板を見つけて立ち止まる。

これはもしかして……究極かつ至高、幻の高級珍味と言われるキングオブザディナー!

その名も――ドラゴン料理!!

あたしの記憶が確かなら、それはかつて主に宮廷料理として王族の口に上った珍味。

特にレイクドラゴンを原材料としたものは、素材自体の持つほのかな甘みと深いコクによって至高の一品と讃えられ、舌の肥えた王族たちをも唸らせたという。

うまい料理が食べたいならば繰り返せ!ドラゴン料理はレイクドラゴン!!

この間の食べ放題も行けなかったし、今日の昼飯はここのドラゴンフルコースにけってーい!



「こんな堂々とドラゴン料理出しますよって書くレストランってすごいね」


なんか隣の席から聞こえてきた声に、アメリアが気づいて振り返る。


「ゼロスさん、ノウンさん、こっちに来て一緒に食べませんか?」

「お構いなく」

「私もいい」

「でも……」

「ねえゼロス、この料理についてる野菜とフルーツのドレッシング和え食べるから、お肉の処理任せたの」

「たまには全部ご自分で食べればいいのに」

「今日のお昼代、ゼロスの分も出すから」

「ではこちらの牛の照り焼きも追加で」

「嫌がらせやめて。それこのページで一番高い奴」


仲良いわね……ほんとーに利害関係ないのかしら。

そうこうしているうちに……キタ――――!!夢にまで見た幻のドラゴン料理!!


って、なにこれ!すっごいまずい!


香辛料でごまかしてるし、何よりぶよぶよでとても食べれたもんじゃない!

厨房に直談判しに行ったところ、あたしたちを一目見た料理長が、本物のドラゴン料理を食べさせてくれるって!


まず食材から!と近くの湖まで出向くあたしたち。


「リナ、応援してる」

「あんたたちは来ないわけ?」

「肉はどんな肉でも嫌。特に脂身」


なんでそんなに肉が嫌なのかしら。あんな美味しいもん食べないって、人生の8割損してるわよ。


「それより、したいことがある」

「したいこと?」

「うん。ここってレイクドラゴンが住んでるんでしょ?群生してる草や木の実は、ドラゴンが住んでも問題ないほど栄養が豊富なはず。そこだったら薬になるものがあると思うの」

「薬?どこか具合が悪いんですか?」

「そうじゃなくて、時たま自分で作って売ってるから。それとドラゴンの身も原料になったりするから、捕れたらちょっとだけ頂戴ね」


言って、草むらかき分け森に入るノウン。

当然のようにその後ろを歩くゼロス……ま、せいぜいお守り頑張ることね。

あたしたちはいざ!ドラゴン捕獲へ!
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