真理を追究する者

□未来は、変えられる
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――フェミール王国。

国民を有能な巫女に育て上げ、男が住むことも、入国することも許されない、女だけの都。

そしてそこには、巫女になるための祝福を授ける魔力を秘めた、何かがあるという。

それがあたしたちの求めるクレアバイブルなのか、そうでないのか……それを確かめるために、あたしたちはやってきた。

この、小さな都へ――






……の前に、やっぱ服選びは重要よね!

フェミール王国近郊のブティックに足を運んだあたしたち。

とはいえ、男どもは入れないから採寸だけしてお留守番してもらってるけど。


「この服、超可愛くないですか?」

「アクセサリーも、中流のブティックにしてはなかなかおしゃれなもの置いてるじゃない」


めいめいに服を選ぶアメリアとマルチナ。


「あんたたち!あいつらの服探しも忘れんじゃないわよ!」

「言われなくてもわかってるわよ!」

「はーい」


それと化粧道具ね。これはまあまあの品で十分かしら。


「ノウンも、ちゃんと自分の服くらいは――」


と、店内を見回すと、何やら熱心に服を見比べてるノウンの姿が。

地味な服着てるから、てっきりこーゆーのにきょーみないと思ってたけど……ちょっと覗いてみるか。

いつも以上に機敏な動きで次々服を手に取るノウンは……なんかもー、ただでさえ宝石のような瞳をキラキラ輝かせて、若干頬を紅潮させていた。

尻尾がくっついてたならぶんぶん振り回してたかもね。

なあんだ、ふつーの女の子な部分もちゃんとあるんじゃない。

やがて彼女は二つの服に焦点を当てたのか、それらを掲げて、


「どっちがゼラちゃんに似合うかなー……」


ずこっ!


「自分のを選べっつの!」


隠れてた物陰からすわっと出るあたしに、ノウンは暢気な声で答える。


「あ、リナ。そっちは終わった?」

「……終わったけど……あんたの着るのは?早く決めてよね」

「私の?このままじゃダメ?」

「何のために来たと思ってんのよ!あんたは特に地味すぎるから決めなきゃダ・メ!」

「えー……」


困ったように眉尻を下げるノウンに、マルチナが近寄って、


「あら、その服なかなかいいじゃない。それ着ちゃいなさいよ」

「どっち?」

「こっちの黄色いの。瞳の色と合っていいと思うわ。試着してきたら?」

「ゼラちゃん用だけど……まあいっか」


一つを返し、店の奥に向かうノウン。自分の事となると超てきとーよね。


「ていうか、ゼラちゃんて誰よ」

「時々会う人」

「いつどこで」

「……いつかどこかで」


さっぱりわからん。

教える気はないのか、それ以降もいくらつついても何も言わなかった。








「それで……どーして俺がまたこんな格好しなきゃならないんだ――――!!」

「なーに言ってっかなあ。女しか入れない国となったら、とーぜんの展開でしょ」

「そんなこと言って、自分たちも服着替えてやけに楽しそうじゃないか」

「そんなことないわよ……あったあった」


ごそごそ何かを漁っていたリナが、にっこり笑ってそれを構える。


「ガウリイちゃん❤仕上げよん♪」


淡い色の口紅――悲鳴を上げて逃げ出すガウリイを、リナが楽しそうに追い回す。

可愛い赤いリボンに、ピンクの女性服……髪も長いし、低い声さえ隠せば完璧な美女だと思う。

なんであんなに嫌がるかな。昔に何かあったのかも。『また』って言ってたし。


「羨ましいわガウリイさんの髪。私の長さじゃ三つ編みはできないものねえ」


――と、ガウリイを眺める彼。

赤いドレッシーな衣装……人形塔の時と同じく、違和感がほぼない。


「そんなゼロス様、この髪型で十分、素敵ですわ。うふふ」


マルチナも嬉しそうに彼の髪を梳いている。
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