真理を追究する者

□心の在り処
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※不快に思ったらすみません。

※あと長いです。

 キリのいいとこがどこかわからんかったごめりんこビーム☆





――白く染まったのは、一瞬だけ。

ガチャン!と音が響いた時には、あたしは別の場所に立っていた。

傍らにはゼロスが立っていて、あたしがさっきまでいた場所には白い鎖が生えている。

それは目標物を見失い、そのまま砕けて光の砂粒となって消えていった。


「……さすがはゼロス。素早い対応で」


声の主は、見た目に反した黒い笑みであたしの方を睨んでいる。

ノウン……!


「ノウン、貴様!」

「あら何か?」


ゼルの声にも涼しく対応。


「よもや『どうしてこんなことを』とか『共に旅した仲間じゃないか』とか言うおつもりでしょうか?それでしたら全く見当外れというものです」

「何っ!?」

「私はぁ、徹頭徹尾、あなたたちを『仲間』などと思ったことはないのですよ」


なっ……


「私にとってあなたたちはただの行きずりで、ゼロスの用事のために仕方なく一緒にいただけ……それで仲間などと思うおこがましさは、残念ながら私は持ち合わせていなかったのですよぉ」


ノウンはにこやかに、楽しげに、そんなことをのたまった。

いつもと変わらぬ調子、一片の曇りもない笑顔で。


「そんな……!」


絶句するアメリアと、ノウンが変身した時から驚きで固まっているミルガズィアさんとは対照的に、哄笑を響かせるセイグラム。


「はははははは!そういうわけだ。まさか本当に寝返るとは思わなかったが……まあいい。お前はゼロスを何とかしろ。私はその間にリナ=インバースを始末する」

「……ふーん」


セイグラムの声が聞こえた直後から冷めた目をしていたノウンは。

人差し指を頬に当てて何かを考える素振りを見せると――ニタ、と顔を歪ませた。


――直後、セイグラムの真後ろに現れる。


「じゃ、頑張ってきてくださいませ☆」


すこぉぉぉぉぉぉぉん!!


「どおおぉぉお!?」


かなり小気味いい音とともに蹴っ飛ばされたセイグラム――その先には、ゼルとアメリア。


『崩霊裂(ラ・ティルト)!』


二人は同時に唱えた呪文を放つ!


「くぅっ!」


しかし、すんでのところで空間を渡って躱された。

その直線上にいたノウンもラ・ティルトを躱し、あたしたちよりやや離れた場所に着地。


「あらあら、もう少しでしたのに、残念☆」

「貴様何をする!」

「何をされたのか把握できなかったのか後頭部を蹴られたから一時的記憶喪失なうなのかどちらでしょうか?魔族でも記憶が飛ぶなんてことがあるなんてまさに目から鱗ですねぇw」

「わかってて言ってるだろ貴様!」


……今のやり取りで分かった。

ノウンは完全にガーヴ側についたわけではないらしい。

だからといって初手でいきなり鎖を出したあたり、安心はできそうもないが。


「まあ冗談はさておき」

「冗談だと!?」

「私はね、全面的にリナの殺害を肯定しているわけではないのですよ。計画の内容を鑑みれば確かにそれがベストかもしれませんけど、他に方法があるのならば極力そんなことはしたくありません。私は魔族ではありませんので……ですので、リナにちょっとした選択肢をあげるのですよ」

「選択肢?」


あたしがオウム返しすると、指をまっすぐ立てて、


「クレアバイブルには金輪際近づかないと誓ってドラゴンズ・ピークを降りてくれるなら、私が魔竜王に命を狙わないよう仲介してさし上げます」

『は!?』


ほぼ全員の驚愕の声。


「あんたそれ、どーゆー意味よ!」

「そのまんまの意味ですよ?あなたにはアレに近付かれたら困るんです。なぜならそれが、フィーくんの計画のかなめですから……ねぇ?ゼロス」


視線を送られたゼロスは口の端を歪めて、


「……どうでしょう?僕はフィーさんから計画の内容は聞いていませんので――」

「じゃあはっきり『知らない』と言って下さいな。できないのですか?」

「…………」


今度こそ、完全に沈黙した。


「その程度の言葉遊びがこの私に通じると思っていただなんてぇ、私悲しくて思わず偽垢作ってクソリプ掃射しちゃいそうなのですよ〜」


……そうか。ゼロスは『聞いてない』とは言ってるけど、『知らない』とは言ってない。

それをすぐさま見抜くなんて……伊達に長年一緒だったわけじゃないということね。


「じゃあ、ノウンさんはヘルマスターの計画が何なのか知ってるんですか!?」

「仮説なら立ってますよ。それが真実かは別として……ですが、間違ってはいないと思います。それ以外の可能性がありませんので」

「なんなのよ、ヘルマスターは一体何考えてんの?」

「答えたら私の言う通りにしてくれます?」

「……返答次第ね」


聞いたところであたしの不利になるものかもしれないし、素直に頷くわけにはいかない。
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