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□第七章
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――くだらない。
――つまらない。
――変化のない日常にも、薄っぺらな笑顔や会話を続ける奴らも。
彼は退屈で、同時に怠惰だった。
周りのものに見切りをつけ、自分から距離を置いた。
現状を変える手立てがないと考え、日常のぬるま湯に浸り続けた。
そうしてできた周囲との隔絶に周囲もまた気づき、彼と接触する者はいなくなっていった。
少年の心は完全に閉ざされ、理解しうるものはただ一人となった。
しかし、彼はなぜそこまで人との交流を避けるようになってしまったのか。
その理由を知るものはついぞおらず――彼自身もまた、時の流れとともに忘れてしまった。
「我々はモンスター討伐部隊である!」
そのリーダー格らしき少女は、そう声高に叫んだ。
とある大学に複数人潜んでいるというロイドの情報に従った三人は、その校長室に居座っていた男女に出くわした。
彼らは実に様々な風貌で、様々な学校の制服に身を包んでいた。
生徒会長の雰囲気の眼鏡の少女を筆頭に、応援団の服装の男子、ぬいぐるみを膝に乗せた幼女をさらに膝に乗せている前髪の長い男子、喧嘩上等とプリントされた学ランを羽織った茶髪の女など、多種多様な人種の群れが形成されている。
「モンスター討伐……って?」
紅葉がかろうじて言葉を絞り出す。
なにしろ三人がモンスターを相手にしているとき、一度として彼らの姿を見たことがないのだ。
討伐どころか、倒したこと自体ないのではないのか。
三人の心境を知ることなく、聞かれた少女は得意げに胸をそらす。
「そう!我らはモンスターを退治することを生業としている集団なのだ!私はここの統率者、名は水谷。以後お見知りおきを」
そして聞いてもいないのに集団の説明を始めた。
本人は実に仰々しくこの集団の創設理由を語っていたが――要約すると、彼らはこの世界で知り合い仲良くなったが、モンスターがいることを知り、それを倒すために結成されただけだという。
「じゃあお前ら、ここにいる理由ねえじゃん。元の世界に帰れば討伐の必要ねえし、楽だぜ?」
紅葉の言葉に、数名の男女が声をあげる。
「はあ?何言ってんだこのチャイニーズは」
「うちは地元大阪やっちゅうねん!」
「ムーたちはねー、えっと、木がいっぱいあるとこ!」
「愛媛だネ」
「長野」
「僕なんか北海道さ!」
「大体ねー、あたしらはそもそも元の世界が嫌だからこっち来たの!ここに来た奴らはみんな親に発言権とか取り上げられ、縛られてた連中なの!」
「もう親の言いなりなんかこりごりだ。ここなら生活費とかいらないし、毎日ゲーム三昧しても誰も何も言わないし、最高だぜ!」
仲間の声に合わせ、各所から「そうだそうだ!」と声が上がる。