A SITE FOR SUICIDE

□第一章
1ページ/4ページ




「ねえ、知ってる?噂のアプリ」

「知ってる!例の『自殺アプリ』でしょ。死にたい人はどうぞーってやつ」

「C組の森田が、そのアプリ開くって昨日宣言しててさ」

「マジ!?」

「でも今日倒れてるのが発見されて、病院に搬送されちゃったらしいよ」

「え、どうして?昨日までぴんぴんしてたじゃん」

「わかんないけど、噂ではアプリの呪いだって言われてるよー」

「うわっ、怖ーい」


そんな会話が繰り広げられる教室。
授業までにはまだまだ時間があり、生徒たちは友人同士で集まって会話を楽しんでいる。

そんな中で一人だけ、読書をたしなむ生徒がいた。

彼はざわつく周囲とは対照的に、まるで何かの結界を張って周囲を拒んでいるような、そんな異質な空気を放っている。

しかし、無神経にもその空気を壊して彼に話しかける男がいた。

「青葉、おっはよ!」

青葉と呼ばれた生徒は、本から目を離さずに相手の声に答える。

「おはよう」

「また読書してんのかよ。たまには外に出かけるとかしないと、またお前の病気が出るぞ」

「紅葉には関係ない。というか、病気とか言わないでくれ」

やっと本から目をそらしてジトッとした目でこちらを見る青葉に、紅葉と呼ばれた男はなぜか笑顔を明るくして青葉の前の席に座る。

「やっとこっち見てくれた。お前に見せたいやつがあってさ」

言いつつ携帯を開いて、とあるサイトを見せる。

今時珍しい、名前と概要、アプリをダウンロードするボタン以外は何もないシンプルなサイトだった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ