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□第一章
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「ねえ、知ってる?噂のアプリ」
「知ってる!例の『自殺アプリ』でしょ。死にたい人はどうぞーってやつ」
「C組の森田が、そのアプリ開くって昨日宣言しててさ」
「マジ!?」
「でも今日倒れてるのが発見されて、病院に搬送されちゃったらしいよ」
「え、どうして?昨日までぴんぴんしてたじゃん」
「わかんないけど、噂ではアプリの呪いだって言われてるよー」
「うわっ、怖ーい」
そんな会話が繰り広げられる教室。
授業までにはまだまだ時間があり、生徒たちは友人同士で集まって会話を楽しんでいる。
そんな中で一人だけ、読書をたしなむ生徒がいた。
彼はざわつく周囲とは対照的に、まるで何かの結界を張って周囲を拒んでいるような、そんな異質な空気を放っている。
しかし、無神経にもその空気を壊して彼に話しかける男がいた。
「青葉、おっはよ!」
青葉と呼ばれた生徒は、本から目を離さずに相手の声に答える。
「おはよう」
「また読書してんのかよ。たまには外に出かけるとかしないと、またお前の病気が出るぞ」
「紅葉には関係ない。というか、病気とか言わないでくれ」
やっと本から目をそらしてジトッとした目でこちらを見る青葉に、紅葉と呼ばれた男はなぜか笑顔を明るくして青葉の前の席に座る。
「やっとこっち見てくれた。お前に見せたいやつがあってさ」
言いつつ携帯を開いて、とあるサイトを見せる。
今時珍しい、名前と概要、アプリをダウンロードするボタン以外は何もないシンプルなサイトだった。