落書き

□『救世主』の見えるもの
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※ただの小ネタ&思い付き小説です。本編とは一切関わりません。

※若干原作設定と食い違う描写がある箇所は、目をつぶってほちいです。

※キャラ崩壊がありますが、これは人間に対して温厚な態度をとらない頃、残虐性が原作より色濃い頃の彼という設定です。

※微グロ注意











――柔らかい光が、暖かそうに木々を照らす。

すでに焚火は消したはずなのに、光だけがそこに留まり続ける。

光は、あるいは乾いた音を響かせ、あるいはただの点と化し、またあるいは複雑な模様となって消えていく。

しかし、とめどなく新しい光が生まれるため、光はいつまでもそこに佇み続けるのみだった。


「…………」


――そんな幻想的で儚い光景を、ただ見つめるだけの存在がいた。

口を閉ざし、目を細め、何をするでもなくじっと見つめる。

かの者は、人にあらず。

神とは対極となる存在であり。

常に忌み嫌われ、時に脅威となり絶望と苦しみを生みだす――『魔族』である。

彼らにも存在理由はあり、矛盾したこの世界を滅ぼすために動いている、はずだが。

ただただ生み出され、消えゆく光を黙って見つめるこれがそうなのだろうか。

……まあ、違うことは確かである。

それを本人が認識し、自覚していればの話だが。


「…………」


――あと、少しですかね。


そっと息を吐き、居住まいを正して。

収まる気配のない光の内に、まるで夜の帳を邪魔しないように。

そっと自身の言葉を、沁み込ませていった――















――どれくらい遡る話かは、覚えていない。

そこは集落……と言っていいのかわからない、少し特殊な地形であった。

もともと大穴が開いていたわけではない。

戦争ののち、行き場をなくした人々が、見つからないように穴を掘ったらしい。

何に見つからないように、かは……さもありなん。

なるべく小さく、なるべく深く、居住空間や行き来できるだけの道を残し。

どんどんどんどん掘っていき……まるで地底人が住んでいるのかと思わせるくらいの薄暗い大穴が完成した。

見つからないようにする――ただそれだけならよかったのに。

アレらを恐れるあまり、彼らは手を出してしまった。

異界黙示録――クレアバイブルと呼ばれる異世界の知識を使い、『救世主』なるものを創り上げたのだ。

情報によれば――それは、世界を救う力を持っているらしい。

それがどれほどのものか、確かめねばならない。

もしも、それが我らの障壁となり、我らを滅ぼすのなら――
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