真理を追究する者

□『兵器』である少女
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「処置をされたって、やはりキメラやホムンクルスじゃないのか?」

「キメラは後天的に別種の生命体と合成されたもの。ホムンクルスは細胞とかの種を培養液に入れて大きくなるもの。私は生まれる前の胎児の段階で手を加えられ、人間と同じ手段で生まれてきた。そして処置の方法も、何かと合成されたのか、そうじゃないのかも不明。結論としては、『自分でもよくわからない得体のしれない生命体』としか言えない」


自分でゆーかそれ。


「はあ……で、それを知ろうとして旅してるわけじゃ?」

「ない。自分自身にはさほど興味ないから。私は現に存在してるんだし、いいかって。そんなことより他のこと……『世界』にあるありとあらゆる事象、物事が知りたい」


う、うーみゅ……なんとゆーか……簡素、というべきか……。

とゆーか、『知識の探究者』名乗ってるんだったら、クレアバイブル使って生まれたんだし、真っ先に自分のこと調べない?ふつー。


「なあ、今のどういう意味だ?」


ガウリイがお決まりの質問をしてきて、あたしは反射的に後で説明する!と言いかけたのだが、


「私は人間じゃない。それだけ念頭に置いてくれればいい」

「そうか?わかった」


ノウンの言葉に、素直にうなずいて口を閉じた。

あれ、この二人って話したことあったっけ?この子超スムーズに話すじゃない。


「で、自由気ままと言ったが、それではなぜゼロスとともにいる?ただのお気楽旅なら、そいつはむしろ邪魔なはずだ。お前、毒があるからと薬の材料を取り上げられたことがあるんだろう?」


ゼルの鋭い視線にも、ゼロスはやはり表情を崩さない。


「あんたの危険性ならここ数日間一緒にいてある程度分かったし、あたしと行動するならゼロスのお守りも必要ないはず。それでもそいつと一緒だったのは何故?」


セイルーンの時だけじゃない。ドラゴンの肉を分けてほしいと言った時も、こいつはゼロスと行動することを選んだ。

実際、ハルシフォムの屋敷に入った時はゼロスと離れていたわけだし、ゼロスからしてみれば、ノウンが危険行動さえしなければ……誰かが常に見ている状況になっていれば、見張る必要はないのだ。

するとノウンは、あたしにジト目を向けた。


「……単純に、リナのやってることが面倒だから、って回答じゃダメ?」

「あたしのやってること?」

「だってリナ、いろんなところに首突っ込みすぎ。リナにも私にも関係ないことばっかり。いくら報酬があるとはいっても、関わればその分恨みを買う確率も高くなる。魔族に狙われたのも、リナが目立つ行動し過ぎたツケだと思う」


ゔっ。そう言われると確かにそうかも……魔王(7分の1)を滅ぼしたのも、まだ記憶に新しいくらいだし。


「ではリナに出会う前は、どうしてゼロスなんぞと旅をしていた?」

「深い理由は特にない……けど」


彼女はちらと、ガウリイを見てから、


「……まあ、ゼロスは私の、保護者みたいなものだし」


…………。

なんだろう。妙に納得してしまったというか、胸にすとんと落ちたというか。

メチャをやるこいつと、それを見守り時には止めるゼロス……まるきりあたしとガウリイの関係である。

クレアバイブルに関しては、お互いに競い合うライバルみたいにも見えるけどね。


「納得はできんな。ゼロスといることで研究とやらははかどってるのか?」

「研究は趣味みたいなものだし、私は観測できる事象を知りたいだけ。その中では限界というものは当然あるし、気にしてない」


ぐるりと草むらに首を向け、ぽつりと、


「……それに直接毒物が手に入らなくても、自分で作ればいいし」

「ちょっとノウンさん?」

「なぁんでもなぁい独り言なう」

「猫の物まねしてもダメですよ出してください今すぐ」

「今はないよぅゼロスったら心配性マジ卍」


焦りをモロに顔に浮かべるゼロスに肩をがしっと掴まれるノウンは、HAHAHAと笑うように両手を上げる。無表情のまま。

……そういえばこの間のクロロなんとかも、そのままポイ捨てしたり火の中入れたら有毒ガス発生させるって言ってたような……。

この世界の終焉が近くでありませんように。
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