真理を追究する者

□大賑わいののど自慢大会!?
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翌日の昼前。


『さあいよいよカラオケ大会も終盤戦に入るぞ!次の参加者は飛び入り参加の旅の魔導士一行だ!一人目は、えー、【天才美少女魔導士】……カッコ自称、リナ=インバース!』

「カッコ自称とかつけるな!自他ともに認める美少女でしょ!?」

「リナさーん!掴みは完璧ですよー!」

「何も掴んでないわ!!」


リナは叫んでから、大股で壇上の中央まで歩いていく。

あの表情はいつもよく見る。あの人は怒りっぽいから、攻撃呪文で会場を破壊しそうになったことだろう。

ギリギリ理性があるだけ、リナも常識人だったんだなあ。

音楽をイメージするために、会場は一時の静けさに包まれる。

リナは自分の得意な曲のメロディを心に浮かべ、マイクの起動呪文を唱えた。


「――『我は汝らに祈りを歌う』」


途端に会場には、リナのイメージした通りであろう曲が流れ始める。

合わせて歓声が上がり、リナらしい快活な音楽が広がっていった。


「へえ……」


感嘆の声を漏らしたのは、ガウリイ。

普段リナからさんざん脳みそくらげとかあだ名される彼でも引き込まれる音楽らしい。



断ち切れない想い抱いて 人はさまよい続ける

立ちはだかる壁 見上げるより

打ち崩す術があると 幻を打ち払って

いつだって今 ここが始まり




「さすがリナさんです!」

「ふーん、なかなかやるじゃない」


みんなの賞賛の声。

私も、あの歌はとても面白いと思う……けど……。

昨日からずっと……妙に目がかすむ。

神眼が……なにかに反応しているみたい……





「次はこのわたくし、マルチナ=ゾアナ=メル=ナブラチロワが歌いますわ!」

『司会を無視して勝手に進めようとしないで!』


おっちゃんのツッコミは、一瞥すらされずに曲が始まる。

イメージする時間短くない?と思ってたけど……何あれ、曲の完成度高すぎっ!

完璧に歌い、しかも踊りまで披露するマルチナ。



風に乗って 夢の彼方へ飛んでいきたい

勇気という翼をつけて

鳥になって 見下ろす心 持ち続けたい

リアルな日々に負けないよう




「あいつギャグキャラのくせにあんなに上手いの!?」

「センスがいいのかもしれませんね。自分を引き立たせる術に長けているのかも」

「くっそ〜〜マルチナのくせに!」


マルチナはあたしに、不敵な笑みを向けてその場を去った。






『それでは三人目!セイルーンの王女、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンさんです!』

「なんでアメリアだけ『さん』付けなのよ」

「姫だからじゃないか?」

「わたくしの時も言われてないわよ」

「あんたは司会無視したでしょーが」


意気揚々と壇上に上がったアメリアは……あら、まともな選曲できるんじゃない。


「昨日ゼルガディスが言ったからじゃないか?『変な歌歌うな』って」

「俺のせいなのか?というか、いつもはそんな細かいこと覚えてないだろ、お前は」

「ノウンに足踏まれた瞬間に言ってたから」


壇上のアメリアは、観客に手拍子を促すなどして大いに場を盛り上げていた。

これに関してはさすが一国の姫と言わざるを得ない。あたしもつられて手を叩く。



傷つくことは恐くない だけど決して強くない

ただ何もしないままで 悔んだりはしたくない

Here we GO! GO! 走り続ける 誰にも止められはしない

未来の自分へと Give a reason for life 届けたい




大きな歓声とともに、肌をつやつやさせ舞台から降りるアメリア。

くくぅっ!他の参加者なんかまともに見てないけど、あたしたちだけでもかなりのハイレベルなんじゃない?

でもま、優勝はあたしだろうけど――
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