真理を追究する者

□闘いのアルテメ塔!
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「はぁ〜〜やっと着いた〜」


小高く遠い崖の上にたどり着き、みんなして大きく息を吐く。


「結局朝になっちゃいましたね」

「しょうがないでしょ。夜中に来ようったって、あの二人があれじゃあ」


振り返った先、疲労困憊でぜーはー言うアメリアとマルチナが。

すっかり昨日の怪談話にビビりまくって尻込みしていた二人には。

アメリアには宿屋のおっちゃんがもたせてくれた荷物、マルチナにはすっかり寝こけているノウンを背負わせている。


「って、どーして私だけこんな大荷物持たなければいけないんですか!」

「そーよ!私たちはあんたと違って、普通の女の子なんだから!」

「誰がじゃ!」


あたしのツッコミとともに、ビクッとして起きるノウンは。

ありがとね、と呟いてマルチナの背中から降りる。

この子の起きる基準がよくわからん。


「……ま、いいか。まさか朝っぱらから幽霊でもあるまいし、ぱっぱと行って、ぱっぱと写本を探してくる!それなら、文句はないでしょ!」


扉を開けた先――人形館の名にふさわしく、数えるのも面倒な量の様々な人形があたしたちをお出迎えする。

中は薄暗く、異様な寒さを伴って、強い視線をそこら中から感じた。


「ほーう、これはまた」

「……さすがに不気味ね」


呟くゼロスの横で、思わず言葉を返すあたし。

聞きしに勝るって感じ……確かこの屋敷に入った人間は人形にされちゃうって話だし、何人かこの中に混じってるのかも……

――って何考えてんのよあたし!


「おや?怖いんですか?」

「ま、まさか」


強がってるのは否定しない。

嫌な感覚に、背筋に冷たい汗が流れる。


「でも……」


そろりと部屋を見回していると、


「鳥肌が♪」


不意に首筋をなぞられ、たまらず悲鳴を上げる!


「きゃああああああああ!!」


無我夢中で何かを引っ掴んで、走って崖を下り――

そこにあった避難所……じゃない、洞窟に潜り込んだ。


――掴んでいたのは、ゼロスの手だったようで。

あたしに引きずられてたゼロス以外の全員が、肩で大きく息をする。


「しまった……俺としたことが、ついつられてしまった」

「何言い訳してるんだ?お前」


なんか赤くなってるゼルの言葉に、若干平静を取り戻す。


「ちょっとゼロス、あんたが言ってた言い伝えって、いったいいつの話よ?」

「さて……もう何百年も昔の話かと」

「それで今なおあの効果か……考えようによっては当たりかもしれんぞ」

「それだけ呪いの増幅システムが強力だってことだもんね」

「でもよお、それなら塔に入った人間が人形にされるってゆー言い伝えも、生きてるってことだろ?」

「そうかもしれない。でも、今の段階だったら何とも言えないのも事実」


ガウリイの後ろにあった影が立ち上がり、ノウンが現れる。

ああ……いないの気付かなかった。気配ないもんこの子。


「あんた人の影にくっつくの好きね」

「目立たないから……ていうか、あんなに怖がるなんて、リナってば可愛い」

「やかまいか!」


ツッコミを無視して、ゼルがノウンに話しかける。


「ノウン、お前の神眼であれらの中からクレアバイブルを探すことはできないのか?」

「見たところ、人形にそれぞれ魔力や意志を感じた。その中からクレアバイブルの魔力だけを探知するのは不可能だと思う。少なくとも、あの空間内で特に強い魔力を感じるものもなかった」

「そうか……ならばやはり、どうやって人形たちに怪しまれずに塔の中で写本を探すかが問題になるな……」


そのつぶやきを耳にしたアメリアが、


「それで宿屋のおじさん、こんなもの持たせたのかな?」


自身の担いでいた風呂敷を広げ始める。
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