A SITE FOR SUICIDE
□第一章
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「何それ。≪入口≫って……何の?」
「そういう名前のサイトだよ。ほら、よく噂になってるだろ。『自殺アプリ』を提供してるサイト」
「知らない」
「あ、そっか。お前友達いないもんな。俺以外に」
「……殴ってもいいか?」
「殴ったとこで現状は変わらねえだろ。とにかく、これを使えばお前の望む死への入り口が開けるわけだ」
その言葉に、青葉は少し前のめりになって聞き返した。
「本当に死ねるのか?そのアプリを開いただけで」
「さあ。これ開いて本当に死んだ奴は聞いたことねえな」
「デマじゃないのか?」
「でも結構話題になってるぞ。なんか、C組にいる森田って奴がアプリ開いて噂の真相を突き止めてやる!……とか言ったっきり入院してるとか」
「結局開いてないのか」
「るっせーなーしょーがねーだろ他に出回ってる噂ねーんだしー」
「すねるな」
つーんと口を尖らせる紅葉は、一旦サイトを閉じてネットニュースを見る。
トップには、『意識不明者全国で300人越え』と書かれていた。
「そういや最近多いな、意識不明者」
「ああ、東京だけで40人超えたんだよね」
「なんだろうな、流行り病か?なんか一部の噂じゃ、『自殺アプリ』の呪いだとも言われてるぜ。開こうとしたやつが狙われてさ」
「興味ないね」
見ると、青葉はまた読書に戻っていた。
面白くなさそうな顔をした紅葉だったが、何か思いついたようで再び笑顔に。
「なあ、開いてみようぜ。『自殺アプリ』」
「どうせ意味ないよ。遊びのサイトでしょ?」
「いいからいーから!今日の放課後、俺ん家に集合な!」
「集合って、二人しかいないじゃん」
「絶対来いよ!わかったな!」
それを捨て台詞に、紅葉は走って自分のクラスに戻っていってしまった。
軽く息をついて、青葉は再び本に意識を戻す。