儚くも美しいモノ。

□第三桜
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早朝…部屋には暖かい光が差し込んでいた。

眩しくなって目を覚ましたのはいつものこと。

いつもと違うのは…風景―。

一瞬にして昨日の出来事が思い出された。



(そうだ…萌愛はお兄様と…―)



心が温かい。
自然と笑顔になる。



「スースー…」
『ん?』



寝息……?
慌てて下に視線を落とした。



『総司様…!?』



どうして同じ布団に…
一晩中一緒だったってこと…?

あれ…そういえば右手が暖かい……ああ、手繋いでるのか。



(え……?)



「ん…おはよう。」
『おはようございます…ってあの…手……』



手?と首をかしげ、まだ繋いだままの手を握っていた。
そう、その手です。



「別にこのままでもいいんじゃない?」
『え…!』



じーっと目を見つめられる。



(うわっ…顔が熱い……)



「総司…てめぇ何してやがる!!」
『ト…トシお兄様!』



お兄様が入ってきたの気付かなかった…。
怒ってるよ…鬼みたい。



「土方さん。そんなに怒ってると早死にしますよ?」
「誰のせいだ!!」



お兄様に総司さんと引きはがされた。



「ったく…萌愛。お前、男には近づくなよ。」
『…はぇ?』



(それはお兄様…いくらなんでも無理です。)



「土方さんは過保護すぎるんですよ。」



そんな会話を聞いていた総司さんがクスクスと笑う。



「…とりあえず、だ。幹部隊士共に紹介する。ついてこい。」
『はい!』



お兄様の腕にギュッと抱きつき、昨日行った広間と呼ばれる場所へと行った。
もちろん総司さんも一緒に。
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