儚くも美しいモノ。
□第一桜
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―土方side―
「土方さん、文が届いてるよ!」
「ああ。」
平助から渡されたのは一通の文。
それも珍しい場所からのものだった。
この嫌な予感はなんだ…?
俺は不思議に思いつつも、そっと文を手に取った。
差出人は…
「―松本先生?」
「トシ、入るぞ。」
俺は近藤さんに答えることもなく、文を読んでいた。
松本先生からの文…
一体どうしたっていうんだ…?
「萌愛が居なくなった…?俺に会いに来……」
文をそこまで読み終え、俺は溜め息と共に「まずいな…。」と呟いた。
「トシ。落ち着いたらどうだね。」
近藤さんはこういうが…
落ち着いていられるわけがない。
「萌愛が…来るらしい。」
「…萌愛ちゃんがかね?」
「ああ。」
萌愛は病気だ。
それに…
隊士どもに見られたらどうなるか…。
間違いなく……
「近藤さん、萌愛を迎えにいってくる。」
笑顔で見送る近藤さんを、横目で見て歩いていった。
「萌愛…千鶴の奴みたいにならなきゃいいが…。」
と一言呟いて…。