□テスト期間
1ページ/4ページ

眠い


数学の授業中、咲子は眠気と戦っていた

いつも気づけば覚えてもいない夢の中にいて

お昼と放課後流衣に起こされるのが日常だ


悪いなとは思っていても
いつも笑顔の流衣の好意についつい甘えてしまう

今日も起こしてもらうことになるかも


咲子は無駄な抵抗を止めてゆっくり目を閉じた


「咲 お昼だよ。」
やや低めの穏やかな声
目を開くと机についた手が見えた
指がスラリと長い

顔を上げるといつもと同じ笑顔


「起きた?」

咲子は流衣のこの表情が好きだった

常に笑顔でいるなんて自分には到底無理だし

姉である人の母性的な笑顔とは
どこか違った安心感がある

どこがどう違うのかサッパリだが


咲子は知らず口元に笑みを浮かべて頷いた
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ