書
□テスト期間
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眠い
数学の授業中、咲子は眠気と戦っていた
いつも気づけば覚えてもいない夢の中にいて
お昼と放課後流衣に起こされるのが日常だ
悪いなとは思っていても
いつも笑顔の流衣の好意についつい甘えてしまう
今日も起こしてもらうことになるかも
咲子は無駄な抵抗を止めてゆっくり目を閉じた
「咲 お昼だよ。」
やや低めの穏やかな声
目を開くと机についた手が見えた
指がスラリと長い
顔を上げるといつもと同じ笑顔
「起きた?」
咲子は流衣のこの表情が好きだった
常に笑顔でいるなんて自分には到底無理だし
姉である人の母性的な笑顔とは
どこか違った安心感がある
どこがどう違うのかサッパリだが
咲子は知らず口元に笑みを浮かべて頷いた