文(現パロ)

□空3(政宗)
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半兵衛の言葉が心に突き刺さった。

片割れの右目。
そんなものが俺にいたのだ。
カチリとすっきりハマるような感覚、納得してしまう右目という名の存在、きっと心の中にもやもやと霞がかるあの人物のことだ。
会いたい、早く、会いたい。


急いては事をし損じるから、僕の言葉で急いてしまわないようにね。
逸る気持ちはわかるよ、でも、こういう時だからこそ周りをしっかりみるべきだよ。


鼓動が心を急かすが、別れ際に半兵衛に言われた言葉を思い出す。
確かに心を逸らせてもすぐ会えるわけではない、そう心に言い聞かせて思考を切り替えると、政宗は立ち止まって空を見上げた。

「…あ〜…今日の夕飯、何を作ろうかな」

もうすぐ家だが、冷蔵庫の中身を思い出したら食材が足りないことに気付いた。
自分の趣味といえる料理には、いつも野菜が不可欠。
これは買わなければと踵を返して政宗は元来た道を戻る。

その先で大きく動く運命を知らず。





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