文(現パロ)

□空5(政宗+佐幸+親就+?)
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大きな音が聞こえ、小十郎は驚いて顔を上げる。
どうやら考え事をしている間に寝てしまったようだと自分の部屋から出ると、隣の部屋の元就が慌てた様子で飛び出してきたようだった。
慌てている割には嬉しそうな表情の彼を制して小十郎は何事かと彼に問う。
「如何なさいました?」
「チカが来た!」
「はい?」
「我は行く!」
「え?」
言いながら駆け出そうとする彼をまた止めようと手を伸ばすがすぐさま叩かれ、怯んだ隙に駆けだした元就を追いかけたが、既に別の使用人に運転を頼んでいたのか玄関に着く前には車の発進する音が聞こえた。
「…はあ…」
何があったのかは知らないが突拍子もない行動をするものだと、最近は落ち着いているからよもや早まったことはしないだろうと考えなおし、起きぬけに騒いだせいで頭痛を感じてため息をついた小十郎はとりあえず散らかっているらしい元就の部屋に入ってパソコンの電源くらいは消そうと手を伸ばす。
そして、ふと視界に入ったメールの文面に、小十郎は手を止めた。

心臓が異様に早く鼓動するのがわかった。

“返信に答えるのは後でな、あのさナリ、俺は今お前の住んでいるっていう所に来ているんだけど会えないか?偶然今日用事が入ったから出てきたんだ、もっと早く知らせようと思ったけれど柄にもなく迷ってしまってさ、今日遅くまで駅で待っている、俺の特徴は前にも言った通り灰銀の髪(白髪じゃないからな)と左目の眼帯だ、お前が大絶賛の後輩とは逆側になるからわかりやすいぞ”

小十郎は人のメールなど見るものではないと思いながらも、その文を読んで、元就の後輩の右目の眼帯の存在に手が震えた。


まさか。

その文には続きがあり、スクロールされていない状態を見ると多分この文面だけで元就は駆けだしたのだろう、小十郎はもしかしてこの次にヒントがないかと無意識に操作した。

“で、お前の悩みなんだけど、俺が思うにその片倉って奴の探している相手はその後輩の伊達かも知れないぞ、これは俺の直感な、絶対会わせてやれよ、もし本当に探している相手だったらこれほどまでに幸せなことはないだろうからな”

小十郎はその文面を見た後、一度時間が止まったような感覚に襲われた。

伊達。

後輩の、右目に眼帯をした、伊達。

「まさか…」

政宗様…?

小十郎はそこまで見ていてもたってもいられなくなり走り出す。
元就を追ってもどうにもならないが、彼に今すぐ問いただしたかった。
その後輩が、伊達政宗かどうか。
誰よりも会いたい最愛の人かどうかを。








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