過去拍手掲載物
□バスルームから愛をこめて
1ページ/1ページ
「何が恥ずかしいんだ」
そんな風にシンさんは言うけど。
恥ずかしいに決まってるよ…。
「お前の身体で、俺が見てない場所なんてないんだぞ」
少し、笑いが籠った声で私の耳元で、そんな事を言われたら、もっと、恥ずかしくなっちゃうのに。
やっぱり、シンさんは意地悪だ。
寄港した街の宿で、当然のように私とシンさんは同じ部屋に割り当てられて。
宿のお部屋には、バスルームもあって。
すると、シンさんは当然の様に一緒に入って来るの。
それは嫌じゃないけど、やっぱり色々と恥ずかしい。
「シ、シンさんは、男の人なのにキレイだから…恥ずかしくないかもしれませんけど…わ、私は恥ずかしい、です…」
そう言って抵抗するので私は精一杯。
シンさんに髪を洗ってもらえるのは、本当は大好きなんだけど。
その後、私の身体を洗われるのは…初めてシンさんに洗ってもらえた時には、腕とか背中とか洗ってもらうのは単純に気持ち良かったけど。
私の身体を洗うシンさんの手が、段々とあらぬところに滑って行くので…、もう、とんでもなかったの。
恥ずかしいからって言っても、シンさんは面白そうに余裕の笑みで。
私だけが乱されてしまっていて、本当に恥ずかしいの。
は、恥ずかしくない振りとかしたら、やめてくれるのかな…。
そんな考えが急に思い浮かんで。
どう振舞ったらいいんだろうと、私は考えこんでみる。
「あ、あの…っ」
「なんだ?」
私を後ろから抱き締めるようにしてるシンさンの声が、私の首筋と耳を伝ってきて、くすぐったい。
髪を丁寧に洗ってもらって、それからシンさんに背中から抱っこされるみたいにして湯船につかってる今…この後の展開的にこれは…シンさんに身体を足の指の間まで洗われて…そして…。
うう。
やっぱり、恥ずかしい。
具体的に拒む事も恥ずかしくて。
恥ずかしくない振りなんて、どうしたらいいかわからないと、しぼんでしまう。
シンさんに、私の恥ずかしさを伝えるのには、一体どうしたらいいんだろう…、私は頭を悩ませるしかないのだった。