恋海二次小説[1]

□日常茶飯事
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明日の食事の為の仕込みも終わり、そろそろ風呂に入って寝るかとナギは浴室に足を向けた。

大抵ナギは夜遅くまで厨房で仕事をしている。

最近それに気がついた〇〇が、ナギを手伝おうと夕食後の厨房にとどまるのだ。
〇〇のそういう他者への気遣いは悪くないとは思うので、ナギも申し出を受けて手伝いをさせている。
とはいうものの、流石にある程度の時間で、先にあがらせてやってるが。

実際〇〇がこの船に来て厨房の仕事を手伝ってくれるようになってから、ナギの負担はかなり減った。

まあ、そもそも負担とナギは思ってはいなかったが。

それでも〇〇のお陰で余裕ができれば、新しい料理を試作する時間も増えて。

またそんな試作品を、〇〇が嬉しそうに口にして感想を述べてくれる姿が、ナギの心をこの上なく満たしてくれていたりする。

〇〇とのやりとりを思いだすと何となく温かい気持ちになって自然と口の端がゆるむ、そんなナギがバスルームの前に足をとめた瞬間。

急に勢いよく乱暴な音を立ててその扉が開いた。

「うわっ!?あぶね…」

それを咄嗟に身を引いて避けたナギの前には、それはもう険しい表情のシンが現れた。

あからさまな位に怒っているのが見て取れる。

「おい、どうした」

ただならないその様子に、何事があったのかとナギはシンの姿をざっと確認する。

相変わらず、入浴後にも関わらずシンはきっちりと着衣をしている。

その手には自分の着替えた服と、もう片方には何かの小さな布を持っているのが見て取れた。

「…なんでもない」

出会いがしらにナギと遭遇したシンは息をのんで表情をいつものものに戻す。

しかし、ナギの問いを振り切るように自室に向かう彼の足音は苛だたしげに高鳴っている。

…一体何があったんだ

そう思ってシンの後ろ姿を見送ったナギだが、シンが部屋に入った途端に聞こえてきた大きな声での〇〇とのやりとりでそれを知る。

「〇〇!お前っ、脱衣所に落ちてたぞ!!」

「へっ?ああっ!?私のパンツ…っ!!」


…シンが、先に入ってくれててよかったな

危うく己が遭遇してしまうところだったかもしれない事態を免れたことに、ナギは心底安堵した。

End
 

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