♪過去の拍手小話♪

□ベポだるま
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ハートの海賊団が冬島の気候に入り、早一週間になる。さらに寒さが増したと思ったら、雪がちらつき始めた。灰色の空からとどまる事なく落ちて来る。
彼らは寒さゆえ、船内から外を時折眺める。瞬く間に雪は積もり出し、彼らは船に閉じ込められた。なぜなら、あまりの積雪量に扉が開かなくなってしまったからだ。
ベポは食堂の机の上に突っ伏していじけている。

「しまった〜閉じ込められるくらいなら寒いの我慢して外にいればよかったや〜久々に遊びたかったなぁ」

ローはベポをなだめる。

「まぁ次の島は冬鳥だから雪ぐらいあんだろ」

「ん〜そうだねキャプテン」

気のない返事を返すベポ。ローは肩をすくめて、小さな窓へ目を向けた。すると、灰色の雲の切れ間から日が差してきた。積もった雪が少しずつ解け始める。彼らは、甲板に出てみた。雪はほとんど姿を消し、木の甲板に染みを作っている。
ローは日陰に目を留めた。日陰に積もった雪はほとんど解ける事なく残っていた。ベポに声を掛ける。

「おいベポ!雪、ちょっと残ってんぞ」

ローが指差す方向に目を向けたベポの顔が、ぱっと明るくなった。

「本当だ〜ありがとうキャプテン」

ベポは喜びいさんで日陰に走り、雪の上に座り込むと不器用な手で雪だるまを作り始めた。その様子を見ていたハートの面々も、なんだか懐かしい気持ちになって各々が雪だるまを作り始める。

シャチとペンギンは、子供のようにはしゃぎながら二人掛りでビックサイズの雪だるまを作っている。ローもその場の空気に流されて、ベポの側で手の平サイズの雪だるまを作り始めた。小さな雪の玉を二つ・・・
一つは少し大きめに作って、上に小さい玉を乗せる。さらに、小さい小さい玉を2個作ると先ほど作った雪だるまの上にちょいちょいと乗っける。
一つは右端に、もう一つは左端に・・・
ローは満足げに笑った。

「よし!完成だ。ベポだるま」

ローが最後に乗せた玉は、熊の耳のように飾られていてまさにベポだるまだった。

「出来た〜〜」

一心不乱に製作していたベポからも歓声が上がった。ローはベポだるまを、いびつなベポ作の雪だるまの横に並べた。ベポが叫ぶ。

「わぁ〜キャプテン凄いなぁ。しかもこれ・・・俺?」

「そっ!ベポだるまだ」

ローはニヤリと笑ってベポを見た。ベポは嬉しくなってローに抱き付いた。
寒くても友情は暖かい。
〈End〉

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