♪過去の拍手小話♪
□暇潰し
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「暇潰し」
白ひげご一行は、水を補給すべく無人島に立ち寄った。無人島なのだから、当然遊ぶ場所といえば海かジャングルくらいのものである。12番隊隊長ハルタは、一通り探索もし、一泳ぎもして何もする事が無くなってしまった。チェスや読書をする気分でもない。
そこに16番隊隊長のイゾウがやってきた。
「よう、暇そうだな」
ハルタはさもつまらなさそうな顔で答える。
「まぁね」
イゾウは軽く笑って、ハルタのハーフパンツから出ている糸を指摘した。
「ハルタ、糸がほつれているぞ?」
「あ、ホントだ!ありがとう」
ハルタは裾から垂れ下がった糸を引っ張った。そして、どこまでもほつれていきそうな気配だったので、ある程度の所で千切る。そのまま地面に捨てようとしたら、イゾウに止められた。
「ストップハルタ!その糸は暇潰しになるぞ?」
ハルタは首を傾げる。こんなゴミにどんな利用価値があるというのか。イゾウに言われるがまま糸屑を彼に渡す。
イゾウは糸を結んで、大きな輪っかをこさえた。そして、両手で糸を広げて何かしら指を動かしている。ハルタは興味が出てきて、じっと彼の手元を眺めた。
「ほら!完成だ!」
ハルタに向かってイゾウは両手を差し出した。彼の手の中にある糸は、見事な模様を描いていた。ハルタの目が輝く。
「凄〜い!どうやったの?」
「これは綾取りといってな、ワノ国に伝わる遊びなんだ。まぁ主に女の子のするものなのだがな」
そう言って、イゾウはチロッと赤い舌を出して肩をすくめた。
「女の子の遊びでもなんでもいいや!僕にも教えてよ!綾取りだっけ?」
イゾウはニッコリ笑って
「もちろん、喜んで」
と答えた。
その後、しばらくハルタの暇潰しは綾取りになったとかなってないとか・・・
〈End〉