♪過去の拍手小話♪

□シャンプー
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天気は朝から快晴、気温は真夏日―――よって本日シャンプー日和・・・


ローは甲板に出て大きく伸びをして、側でのたっとしているベポに声を掛ける。

「ベポ!久々にシャンプーするか?今日は良い天気だしな」

「ん〜そうだね〜」

ベポはだるそうに返事をする。ベポはシャンプーが苦手だから気が乗らないのだ。ローは少し眉間にしわを寄せてとどめの一言を投げ付けた。

「ベポ、お前最近臭うぜ?そろそろ限界」

大好きなキャプテンに臭いと言われ、ベポは腹をくくった。

「え〜本当に?じゃあシャンプーしてもらう」

ゆっくり立ち上がって、されるがままのまな板の上の鯉になる。ベポは自分で服を脱ぎ着出来ないからだ。熊の手はそんなに器用ではない。ローはベポのつなぎを脱がせて甲板に座らせると、いそいそとベポ丸洗いセットを用意する。
このためにわざわざ揃えた道具達だ。取手付きブラシに長いホース等々・・・
これはシャチとペンギンを巻き込んでの大イベントだ。ローはシャチに指示を出す。

「シャチ!水を出せ!」

「アイアイサー」

シャチはキッチンまで走ると、ホースを繋いだ蛇口を全開にする。彼らの船は一応海水を真水に変える装置を積んでいるのだ。ローはホースの先をベポの頭に向けてたっぷり水をかけてやる。

「水浴びは好きなんだけどなぁ〜シャンプーは目に入ったら痛いから嫌いだなぁ〜」

ぶつぶつ言いながら、水をぶるぶるして弾き飛ばしたい衝動を押さえるベポ。昔ぶるぶるしてこっぴどく怒られたのだ。
ローはそんなベポに口角を吊り上げながらツッコミを入れる。

「目ェしっかりつぶってりゃいいだろう?」

「ん〜それはそうだけど」

もごもごするベポにローは警告した。

「シャンプー付けるから、目と口しっかり閉じとけよ!!」

体を強張らせて返事をするベポに容赦なくシャンプーをぶっかける。瞬く間にアワアワのもこもこになるベポ。外野に徹しているクルー達は好き放題言っては楽しんでいる。

「なんの生き物だ?」

「泡お化けだろ?良い匂いのするありがたいお化け」

「なんだそりゃ」

ギャハハハと大声で笑いたてられながらベポはじっと耐えた。誰に何と言われようがキャプテンが喜んでくれればなんだっていいのだ。シャンプーは嫌いだけど、一時の我慢だ。これを乗り越えれば、キャプテンの抱擁というご褒美が待っているのだから・・・

〈End〉

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