♪過去の拍手小話♪

□酒は飲んでも飲まれるな
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<酒は飲んでも飲まれるな>

昼間にラジオの仕事を終えて、ドレークと呑みに行っていたシャチが自船に戻ったのは夜更けだった。しかも、かなり呑んだらしく足下はふらふらで、鼻歌まで歌っている。辛うじて船に上がると勢いよく甲板に倒れ込んだ。中々戻らないシャチを心配して、甲板で帰りを待っていたペンギンが慌てて駆け寄る。

「大丈夫か!?あまりに遅いから心配したぜ!・・・って酒クセェ!飲み過ぎだ!ったく・・・」

シャチのあまりの酒臭さにペンギンは鼻をつまんだ。下手に振り回して吐かれても面倒臭いので、ゆっくり彼の身を起こす。そして、意識が不明瞭な彼の頬をぺちぺち叩くと、呂律の回っていない言葉が返ってきた。

「くしゅぐっひゃい〜やめへよぉ〜ペンペン〜」

ペンギンは溜め息をついて、顔を真っ赤にしてにへらと笑う親友を眺めた。この状態で自室に一人で戻るなど不可能だろう。“仕方ないなぁ”と呟くと、弛緩しきったシャチの体を支えるべく彼の腕を自分の肩に回した。しかし、彼は全く自分で歩く気がないらしく自立してくれない。重みに眉をしかめながら、溜め息をまた一つ吐いてペンギンは半ば彼を引きずるようにして歩き出した。

彼の部屋に着くと、急に覚醒したシャチが耳元で叫び出した。

「俺の部屋だ〜〜あれぇ〜?」

ペンギンは、あまりにうるさかったので少し顔を離して返事を返す。

「はいはい。お前の部屋だぞ!さっさと寝てしまえ!!」

シャチは満面の笑みでペンギンに抱き付いた。

「ありがと〜うペ〜ンペ〜ン!」

ペンギンは倒れそうになるのをなんとかこらえシャチを引きはがす。

「はいはいわかったわかった!暑苦しいから離れてくれ!」

シャチはよたよたしてベットに向かったが、暑いのか急に服を脱ぎ出した。ペンギンは黙って見ていたが、彼がパンツまで脱ごうとするので慌てて止めに入った。

「おい!パンツまで脱ぐなよこの酔っ払い!!さっさと寝ちまえ!」

慌てるペンギンに、シャチは楽しそうに笑いかけベットにダイブした。すぐに聞こえてきた寝息・・・

ペンギンはヤレヤレと頭をかいて、そっと彼の帽子とサングラスを取ってやった。いびきをかいて気持ち良さそうに寝ている彼の顔を見て、苦笑を浮かべ呟く。

“おやすみ”

〈END〉

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