白ひげの航海の記録(更新停止中)

□夢魔の虜
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夢を見た・・・

目を背けて来た、そう遠くないであろう未来を・・・





マルコは、悪夢により夜中に飛び起きた。頬に手をやると涙で濡れていた。
大きな溜め息を一つついて、ごしごしと乱暴に目元を拭いまたベットに倒れ込む。寝なおしたかったが心が落ち着かなくて無理だった。
白々しく夜が明ける。重たい体を起こして、フラフラと食堂に向かった。

「おはよう」

気を取り直して、明るくみんなに挨拶をしながら食堂に入った。

「おはようマルコ」

「おはようございますマルコ隊長」

口々に言葉が返ってきた。取りあえずコーヒーをいれていつもの席に座る。すると、隣りにどんと腰をおろしているジョズが不安そうに顔をのぞき込んできた。

「おう、マルコ!寝不足か?ひでぇ顔だぞ」

苦笑いをしながらあくまでも明るく答える。

「まぁねい!ちょっと夢見が悪かっただけだよい」

「なるほど・・・どうりで元気がないと思った。どんな夢かは知らねえが、あまり気にすんな」

ジョズにはお見通しらしい。流石付き合いが長いだけのことはある。

「ははっありがとよい」

古き友人の言葉に少し気持ちが落ち着いて、マルコはいつものように振る舞えるようになった。



その後、何事もなく数日が過ぎた。マルコは自分の見た悪夢など忘れ去っていた。
そんな時・・・



「マルコ隊長!親父の様子が・・・」

1人の隊員の言葉で平穏が破られた。
マルコの脳裏に数日前に見た悪夢がよみがえる。

それは親父が死んで、家族がバラバラになり1人になってしまうという夢。たかが夢かもしれない・・・でもマルコにとってリアルな内容だった。そう遠くないであろう未来を垣間見ているような・・・

頭では分かっている。人は誰しも年を取り、やがて死ぬ。人間は一人残らず死に向かって歩いているのだ。誰一人例外はない。でも、大抵の人は普段その事実から目を背けている。嫌な事は考えたくないものだ。

マルコは今度こそ、夢が現実になるのではないかと恐れた。実はこの様な事は初めてではなかった。時々、親父が死んでしまう夢を見る。その度、心の奥にある不安が夢に出ているのだと、ジョズやビスタに慰められるのだ。


幸いな事に、今回もいつもと同じく親父は持ち直し、家族全員が安堵した。
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