白ひげの航海の記録(更新停止中)
□隊長として
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静かな海原に響く男達の怒号と、剣の交じわる音。そして鳴りやまない銃声・・・
音の発生源は白ひげ海賊団12番隊と、最近名をあげ始めたランバ海賊団の戦いだった。
そもそもの始まりは、彼らが白ひげのシマを荒らした事にある。“いい度胸だ”と白ひげことニューゲートは笑い飛ばしていたが、自分のシマを荒らされて黙っているわけにはもちろんいかない。そこで、12番隊が送り込まれたのだ。
12番隊隊長ハルタは、最近隊長になった若手だ。歳は二十歳にも満たない。しかし覇気を使える腕のたつ剣士である。
その腕を見込まれ、剣士としても有名なランバに打って付けと白ひげは見たのだ。5番隊隊長ビスタでもよかったが、年若い息子に経験を積ませてやりたい親心だった。
ハルタは大好きなオヤジの為に、意気込んで出陣した。プレッシャーがないわけではない。白ひげのマークを背負っている、さらには一つの隊を任されているのだ。敗北など許されない。
ハルタ率いる12番隊は、襲われたシマからそう遠くない海上でランバ海賊団を見つけ出し、今に至る。
今のところ戦況は白ひげ海賊団がやや優勢だ。
ハルタは少し前から、船長のランバと剣を交えている。どちらかが倒れた次点で、勝敗が決まる。しかし、流石は白ひげに喧嘩を売るだけの事はある、中々手強い相手だ。一向にケリガ着かない。お互い仲間に手を出さないように言ってあるので、背中に気をつける必要はない。集中力、体力、精神力が切れた方の負けである。
お互い致命傷を与えられないまま、刻々と時間だけが流れた。
白ひげ海賊団とランバ海賊団が戦い始めて数時間が経った頃、ついに決着が着いた。夕暮れの柔らかな日差しに、ランバの喉元に突き付けられたハルタの剣が光る。
ハルタは白ひげの方針に従い、彼に降伏を勧めた。
「この勝負、僕の勝ちだね!オヤジはさ、心が広い人だからさ・・・敵を殲滅させる事より和解を望むんだよね。だから、降伏しない?嫌ならここで死んでもらうけど」
自分に剣を突き付けている若者をしばらく見つめていたランバだったが、大きな溜め息と共に剣を捨てると、答えを出した。
「分かった・・・降参だ。好きにしてくれ。俺はどうなってもいいから部下達の命だけは助けてやってくれ」
ハルタはその言葉を聞いてパッと笑みを浮かべ、剣を鞘に収めると、ランバに手を差し伸べた。