☆財宝と献上物その2☆

□ロー様はお野菜がお好き
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時刻は午後6時・・・

このくらいの時刻になると、船内にはいい香りが漂い始める。空気の循環システムを持っている船とはいえ、潜ってしまうとやはり換気がやや悪くなるため匂いが船内にこもるのだ。通路を歩いていたシャチはクンクン匂いをかぐと、嬉しそうに後ろから着いてきていたペンギンに言った。

「今日のご飯はハンバーグだ!!間違いない!」

目を輝かせる相棒に、ペンギンは容赦なく言葉を叩きつける。

「出港してから今日で一週間・・・そろそろまともな肉が食えなくなるな!今日のメシは十分味わって食わないとな〜」

それをきいてガックリと肩を落とすシャチ。そう、船には立派な冷蔵庫はあれど冷凍庫なんてものはない。なので、生肉を調理したものを味わえるのは出港してからせいぜい一週間の間なのだ。その先は塩漬けされたものやソーセージなどの加工肉、干し肉が食卓にあがることになる。その事実を突きつけられ、露骨にガッカリしているシャチにペンギンが苦笑いを浮かべていると、彼らの船長トラファルガー・ローが現れた。

「なんだシャチ、浮かねぇ顔してどうした?」

その声に顔をあげたシャチは慌てて笑顔を浮かべると、元気よく答えた。

「いや、なんでもないです!!ホントに!」

事実を言ったら何を言われるかなんて容易に想像がつく・・・なのでなんとか誤魔化そうとしたシャチだったが、あっさりとペンギンがバラしてしまった。

「コイツしばらくまともな肉食えなくなるから悲しんでたんですよ」

シャチの、あちゃーっという顔をよそにどこか成り行きを楽しんでいるのかのようにウキウキしているペンギン。ローは二人の顔を交互に見ると、軽く溜め息をついてシャチが予想していたセリフを吐いた。

「メシが食えるだけありがたく思え!」

「それは解ってますよ?ガキじゃねぇですもん・・・」

むぅっと頬を膨らませるシャチに、ローは内心“そういう所がガキッぽいと思うんだが”と思いつつあえてそれは言わない事にして、難しいアドバイスをしてやった。

「そんなに肉が食いたきゃ海王類でも仕留めるんだな・・・アイツら日もちするから」

案の定シャチの口から不平がこぼれる。

「そんな無茶な〜!!・・・船長食い物に執着ないからそんな事が言えるんすよ〜」

確かに食べ物に対する執着がローは薄かったが、なんとなく腹がたったため彼は反論した。

「俺にも好きな食い物の一つや二つあるぞ」
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