☆財宝と献上物その2☆
□花火
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ここはグランドラインにある、とある夏島・・・
にぎやかな港にはひときわ目立つ船が停泊している。黄色い船体にスマイル全開の釘ドクロ・・・最近誌面を騒がせているハートの海賊団である。
周りの客船や海賊船が帆船であることも彼らの船を目立たせる一つの要因であった。まだまだ潜水艦は珍しいのである。
それを証拠に、恐れを知らない子供達がハートの海賊船の前に集まり、あれやこれやと騒ぎ立てている。そんなニコニコと嬉しそうに船を見上げる子供達に、気立てのよい海賊らしからぬ船員が、甲板から声をかけた。ハートの海賊団の副船長、シャチである。その横では微かな笑みをたたえた航海士のペンギンが子供達を見下ろす。
「よぅガキ共!そんなに珍しいか?潜水艦!!」
子供達は満面の笑みで答えた。
「うん!!俺初めて見た〜!!」
「格好いい〜!!」
船を誉められて嫌な気などするはずもなく、シャチは笑顔で“そうか”とだけ答えた。そこに、一人の女の子から声がかかる。
「ねぇ〜海賊さんたちどこから来たの〜?」
シャチは元気よく答えた。
「北の海からだぜ?お嬢さん!!」
「へぇ〜寒そうだね!ここは暑いよ!!今日はねお祭りもあるんだよ」
素直な感想を述べた女の子は、嬉しそうに島のイベント情報を教えてくれた。他の子供達も思い出したかのように口々に詳細を喋り出す。
「屋台がいっぱいでるんだよ!」
「この街が出来た記念日だっておかーさんが言ってた!」
「花火も沢山あがるんだよ!!」
シャチは顎に手をやり呟いた。
「花火・・・か」
ハートの海賊団は雪深い北の海出身であるからして、花火とはあまり縁がなかった。
「何時からあがるんだ?花火!!」
と、いまだあーだこーだと叫びたてている子供達にシャチが聞けば、海賊さんが興味を示したことに気をよくした子供達は声を揃えて答える。
「7時!!」
それを聞いたシャチとペンギンはニヤリとした笑みでお互い顔を見合わせた。今夜は楽しい夜になりそうだ。シャチは身をのりだし子供達に別れを告げる。
「そっか!!情報ありがとなガキ共!気を付けて帰れよ」
ペンギンも黙って緩やかに彼らに向かって手をふった。そして二人は彼らの元気な返事を背に、どこか浮わついた足取りでハートの海賊団の船長トラファルガー・ローの元へと向かった。企画部長ペンギンの血が騒ぐ。