あいうえお順に進む46のお話達

□笑顔
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気がつけば、いつでもそこに彼の笑顔があった。

俺の幼馴染み、名前はシャチ。トレードマークはキャスケット帽子にサングラス。
彼はいつでも楽しそうにしていて笑顔を絶やさない。ほら、また笑ってる。何がそんなに楽しいのか・・・
でも、その笑顔に何度救われた事か・・・

これからもずっと俺の側で笑っていてほしい。
にこやかに船員達と話しているのを眺めていたらどうしたんだろう?いきなり悲しそうな顔。アイツは誰とも話していない時、時々あのような顔をする。切なげな顔も別に嫌いじゃないけど、やっぱり笑顔の方が好きだ。そんなことを思っていたら、あぁ笑ってる・・・なんだか子供みたい。コロコロ変わる表情が楽しい。本人に言ったらきっと怒るだろうから黙っていよう。
幾つになっても変わらないあどけなさがアイツのいい所。

アイツと居るとこっちも自然と笑顔になる。クールな俺は何処へやら・・・
アイツは能力者だ。悪魔の実ではなく、人を笑顔にする能力者。

シャチが笑顔で近付いて来た。ほら、俺の顔も自然と笑顔・・・

「よう!ペンギン暇そうだな」

「あぁ暇だな。なんか面白い事あるか?」

本当に暇だから試しに聞いてみる。シャチの目が宙を舞う。本気で考えているらしい。適当にあしらってくれてもいいのに・・・変なところで真面目なんだから。ふと暇潰しを思い付いたから提案してみる。

「久々にチェスでもするか?」

「いいね〜今日は絶対負けねぇぞ!覚悟しな」

そう言ってシャチは眩しいくらいの笑顔を向けてくれた。
ワザと負けてやるつもりはないけれど、お前の笑顔の為なら俺はなんだって・・・

〈END〉

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