ハートの航海の記録新世界編

□信頼
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頂上戦争から早数ヶ月・・・

“時期を待つ”と言ったトラファルガー・ロー率いるハートの海賊団は、ようやく新世界へと船を進めた。今までとはケタ違いにあり得ないことばかりが起こるこの海で、初めこそかなり翻弄されたものの、今はどんなことが起きても対処出来るだけの力を彼らは身に付けていた。さらに船長であるトラファルガー・ローの七武海への加入。物事が大きく動き出していた。

しかし、船員達にはローが遠回りしているように感じられて、不満や疑問の声があがった。ローはそんな彼らをたった一言でなだめた。

「俺を信じろ・・・」

と。


それからしばらくたったある日の朝、ローは仲間達を甲板に集めて今成そうとしている事を話した。大きな野望を・・・そしてその事の意味を。船員達は、船長が成そうとしている事が、最終的にはワンピースへと繋がるのだということを悟った。そして敬愛する船長が、“真実”を手にする事を望んでいるということも・・・
ローがこれまでとってきた行動の意味を知り、納得したらしい仲間達の顔を一人一人眺めた後、ローはついにその胸のうちに隠していた事を口にした。

「俺はこれからしばらく単独で動く」

どよめく船員達。ベポに至っては半べそをかいている。ローはそっと目を閉じ、しばらく仲間達の声に耳を傾けていたが、ゆっくりとその力強さをたたえた瞳を開くとニヤリと笑った。その何かを含んだような笑みに船員達は一旦口をつぐみ彼の言葉を待つ。

「そう騒ぐな・・・ちょっと調べものをしてくるだけだ。お前ら船を頼むぞ・・・」

ローのその言葉にまたざわめくハートの船員達。ローは優しい笑みを浮かべ“そう不安なツラするな・・・”と言い残し、船内へと足を向けた。背中に刺さる視線が痛いが、もう決めたことだ。

その日の晩、ローは副船長のシャチ、航海士のペンギン、相棒のベポを自分の元に呼び寄せた。

姿を見せたシャチとペンギンの表情はサングラスや帽子で解らない。ベポは相変わらずションボリしている。ローはシャチとペンギンに椅子と酒を勧めた。ベポは自分の横に座らせる。
最初に口を開いたのはシャチだった。

「船長・・・今朝言ってたこと本気ですか?」

ローは優しい笑みで肯定を示した。そして改めてその真意を述べる。

「今朝言ったように少し調べたい事がある。団体で動くと目立つからな・・・」

その言葉にペンギンが反応を示した。
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