ハートの航海の記録
□ローと愉快な仲間たち2
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ハートの海賊団のいつもと変わらないとある1日・・・
「おはよ〜う」
ベポが大きなあくびをしながら食堂に入って来た。
「おう!おそよう!!」
すかさずペンギンがいつもどおり挨拶をする。
「いつも思ってたんだけどさ、なんで“おそよう”なの?」
ベポはのんびりした口調で疑問を口にした。
「だってお前・・・もう9時だぜ?全然お早くねえだろ?」
ニヤリと笑ってペンギンは答える。
「あぁ〜なるほどね」
ベポは妙に納得して、のそのそ朝ご飯の準備を始めた。この船では朝ご飯はセルフサービスとなっている。
「ある程度の事は自分で行う」が潜水艦ルールだからだ。
そこに、寝ぼけ眼をこすりながらシャチが現れた。
「コーヒーいれるよ!」
そう叫んで、自分のカップにコーヒーをいれ始める。みんな特に気に留めていない。これもまたいつもの光景だからだ。
紛らわしいが、彼は自分に対して「コーヒーをいれる」と言っているのだ。潜水艦での朝ご飯はセルフサービス・・・
「コーヒーいれて」と頼んだところで誰もいれてくれはしない。
なので、彼は毎朝「コーヒーいれるよ!」と叫ぶのが日課になっている。
シャチがサンドイッチをこさえて席についた。いつもの如くベポがおねだりする。
「美味しそうだね〜一つ交換しない?」
そんなベポの皿に乗っかっているのはフレンチトーストだ。シャチは快く承諾した。しかし、彼の悪戯心がこのタイミングで動き出した。
「いいぜ!じゃあしっかりキャッチしな!!」
サンドイッチを高々と上げて、勢いよくベポの口めがけて投げ付ける。
サンドイッチは途中で空中分解し、パンがヒラヒラと左右に落ちた。そして、見事に具のみがベポの口にジャストミートする。
それを見て大ウケしているペンギンとシャチ、そして数名のクルー達。
いつの間にやらローがいて、机にへばる哀れなパンをみて、軽く注意する。
「おい、お前ら!食い物粗末にするなよ!!」
「あっひゃっひゃっ!あ〜すみません船長・・・でも傑作じゃないすか?今の!」
シャチがヒーヒー言いながら机に突っ伏している。ペンギンも、机をバンバン叩きながら腹を抱えている。ヤレヤレとローは溜め息をつきながら首を振り、自室へと姿を消した。