☆財宝と献上物☆

□寒中見舞いマルイゾ
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寒中お見舞い申し上げます。「くじらXX号航海日誌」管理人、飛鳥です☆寒い日が続いていますが如何お過ごしでしょうか?
今年もマイペースに白ひげ一家を愛でていきたいと思っております!今後とも何卒よろしくお願い致します♪

以下、ご依頼頂きました白ひげ一家ほのぼの話でございます☆少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです(o^_^o)/


ホワイティベイの根城で一晩過ごした翌日。


マルコは一人、街に繰り出していた。太陽の暖かい光が感じられない位に身も凍る寒さに、自然と背中が丸くなる。猫背でキョロキョロと街並みを観ながらショッピングモールに差し掛かったところで、ダウンコートにスエードパンツという珍しい洋服姿にいつものように薄い笑みを貼り付けたイゾウに出くわし、マルコは軽く手を振った。
イゾウは、
「よぉ。一人で観光か?」
と軽く手で挨拶を返しながらマルコの手前まで優雅に歩み寄り、小さく「お!」と呟くや否や、マルコの首筋に鼻を近づけ、ゆっくり沿わせるように匂いを確認しだした。マルコはちらりと横目で見たものの、特に制止せずしたいようにさせ、イゾウの気が済むのを待つ。数秒後、嗅ぎまわるのをやめたイゾウは残念そうな顔を向け文句をたれた。
「花の香りがしたから珍しく女と一緒にいたのかと思ったのにな。面白くない」
「なんでそんな事分かるんだよい」
驚いたような口調で返したマルコだったが、言葉と裏腹に顔は全く驚いていない。イゾウの鼻のよさは今に始まった事ではないのだ。
「ビスタに付き合ってただろ。花の香りから微かにアイツの愛用してる香水の香りがしてるぜ。特注品の独特な匂いだからな。すぐ分かる」
淡々と語るイゾウにマルコは肩をすくめ、溜め息混じりに返した。
「へぇ。ちゃんと風呂に入ったのにねい。匂いってとれないもんかよい」
「ずっとつけてると染み付くもんなんだな、これが。・・・今夜は俺がアイツの酔狂に付き合わされそうな気がするぜ」
顎を撫でながら呟いたイゾウに、
「御名答。よく分かってるなぁ。流石だねい」
と、マルコは意味ありげな笑みを向けた。イゾウは一瞬、じとっと睨み付けて、
「誉められても嬉しくねえっての」
と口を尖らせて見せたが、すぐに薄い笑みを浮かべて小首を傾げた。
「それより、行く当てあんのか?」
なんで怒ってすぐに笑うんだか・・・ワの人間ってのは不思議だねい、と心の中で呟きつつマルコはいいやと首を横に振った。
「じゃあ俺にちょいと付き合いな」
唐突な提案に今度はマルコが首を傾げる番である。
「別にいいけどよい。どこに行くんだい?」
「帽子屋」
イゾウはさらりと答え、言葉を待たず矢継ぎ早に続けた。
「お前のその頭見てたら寒気がしてくんだよ!ここ極寒だぜ?そんな風通しのいい頭でほっつき歩いてたら脳味噌凍っちまうぞ」
真顔でありえない言葉を口走る友に、マルコは苦笑いするしかなかった。

イゾウに連れられて入ったのはこの街一番という噂の帽子専門店だった。ニット帽やキャップ、ハット等々、様々な形の帽子が店内を彩っている。
「へえ〜色々あんだねい」
感嘆の声をあげながらキョロキョロするマルコに、イゾウは楽しそうな笑みを向け、
「この街一番の帽子屋だからな。お、これなんかどうだ?似合いそうだぜ?」
と、おもむろにマネキンが被っている毛皮の帽子を手に取り、マルコに被せた。マルコはされるがままだ
「あぁ、あったかいねい」
「なかなか似合うじゃないか。こっちはどうだ?」
イゾウはマネキンの横に並べられている民芸品のような模様がはいったニット帽をマルコに被せると、まるでスタイリストにでもなったかのように真剣な表情で少し離れてみたり後ろに回ったりしだした。マルコからすれば暖かければなんでもいいので、
「これも悪くないよい」と声をかけたがイゾウは聞いていないかのように帽子を交互に被せて小さく唸り、数回繰り返した後ようやく納得したらしく、ぱっと笑顔に戻った。
「こっちの方がいいな。俺からのプレゼントだ。ちゃんと被れよ」
そう言って毛皮の帽子を手にイゾウはレジへと向かい、マルコは、
「悪いねい。ありがとよい」
と声をかけると後ろ姿を柔らかい笑顔で見送ったのだった。

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