白ひげの航海の記録(更新停止中)

□隊長として
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「じゃあ、これからは僕たち兄弟だね!よろしく」

白ひげが仲間のクルーや傘下の海賊達の事を“息子”と呼んでいる事は有名な話だった。ランバはハルタの言葉の意味を瞬時に悟った。そして、目の前で自分に笑顔を向ける若者から、白ひげの人柄を感じ取った。
つい先ほどまで自分を殺そうとしていた男に対してそのような態度を取るなど、普通は出来ない。
万が一それが偽りだとしても、自分は負けたのだから殺されても良いと思いランバは差し出された手を取った。
目の前の若者は、満面の笑みで握った手に力を込めた。ランバの顔にも微かに笑みが浮かぶ。

ハルタは握手を終えると、部下に電電虫を持って来させた。ランバに渡すためだ。

「これで直接オヤジと連絡を取れるよ!また近々歓迎会すると思うからよろしくね!」

ランバは少し躊躇いがちに受け取る。こんなにもとんとん拍子に話が進むとは思わなかったからだ。そのまま“じゃあね”と去って行こうとしているハルタに驚きの声をかける。

「積み荷はいらないのか?」

ハルタはランバよりさらに驚いた顔で答えた。

「兄弟から強奪するわけないだろ?」

ランバは小さく“そうか”と呟き、去りゆく12番隊の小舟を見送った。遠くに白ひげ海賊団の船団が見えた。
彼は受け取った電電虫をしばらく眺めていたが、ついに覚悟を決めて白ひげことエドワード・ニューゲートに電話をいれた。敗北を認め、白ひげ傘下に入る事を告げるために・・・



12番隊は、子くじらに戻ると盛大な歓迎を受けた。隊長であるハルタは、オヤジに報告を入れるべく1人モビーへと向かった。
船に着くと、自分の隊員達と同じく盛大な歓迎を受けた。1番隊隊長マルコから頭をくしゃくしゃされたり、2番隊隊長エースからは抱き付かれたりとまさに揉みくちゃ状態である。
若干疲れる状況ではあったのだが、みんなに認めてもらえている事が嬉しくてされるがままに任せた。

しばらくするとオヤジが部屋から出て来たため、ようやくハルタは解放された。床に片膝をついて、右腕を胸に当て報告を入れる。

「12番隊ただいま戻りました。戦死者0名、負傷者54名、それぞれ命に別条ありません!ランバ海賊団は降伏しました!電電虫を渡してあります」

オヤジこと白ひげは、特徴ある笑い声をあげてハルタを労った。
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