☆財宝と献上物その2☆

□ロー様はお野菜がお好き
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「えっ!?あ・・・でも確かに船長は魚のホイル焼き好きでしたよね〜」

一瞬驚いたシャチだったが、周知の事実を思いだし納得の声をあげる。(※拍手小話”ローさんのとある日”参照)そこに今まで黙ってやり取りを聞いていたペンギンが口をはさんだ。

「船長肉より魚が好きなんですか?」

それに対しローはニヤリと笑って意外な答えを返した。

「いいや・・・俺がホイル焼きが好きなのは付け足しの野菜が旨いからだ」

「え〜〜〜〜〜〜!?」

二人の叫びが船内に響き渡り、何人かの船員が何事かと部屋から顔をだす。アゴが外れそうな二人にローは楽しそうに笑うと、彼らにもっともな理由を教えてやった。

「野菜もいうほど日もちしねぇからな・・・根野菜は別だが。だから俺にとっちゃ野菜はお前の肉みてぇなもんだ。特に生野菜なんてご馳走以外の何者でもねぇよ」

「た・・・確かに生野菜も買ってから一週間の間しか食卓にあがりませんけど・・・船長ってばなんか意外と健康的!!」

シャチが口をパクパクさせる。

「シャチ・・・“意外と”は余計だ!」

ローは二人の異常な驚き方に対し、溜め息をついて言い返してやった。少しご機嫌を損ねた主(あるじ)に慌ててシャチは謝罪を入れる。

「すみませんっ!!」

そして頭を下げるシャチの横で、ペンギンがしみじみと呟く。

「いやぁ〜でもあれっすね!好物がヘルシーだから船長スタイルいいんだ」

お世辞でもなんでもなく心からそう思っていることは、彼の顔を見れば一目瞭然でローは少し機嫌をよくした。それに目をとめたシャチが提案を述べる。

「野菜船で栽培しましょうよ!そしたら何時でも船長野菜食えますよ!?俺船長のためなら毎日せっせと世話しますよ!野菜の・・・」

ニコニコと子供のように無邪気に笑っているシャチの言葉にローは少し嬉しくなったが、それはおくびにも出さず二人に背を向け歩き出した。そしてあくまでもクールな船長を演じながらセリフを吐く。

「バカ言え!うちの船は潜水艦だぞ?日光不足で野菜なんて全く育たねえよ!さっ・・・メシ食いに行くぞ!!早く来い」

ズンズン自分達を置いて前を進んでいくローに、二人は“待ってくださいよ〜”と慌てて彼の背を追った。そんな可愛い部下達の気配を感じながら食堂に向かうローの頬に、朱がさしていたことは誰も知らない。


<End>
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