ハートの航海の記録

□ハートの海賊団のとある日常〜秋島編〜
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秋島に上陸したハートの海賊団は、ログが溜まるまでの5日間いつものごとく思い思いに過ごす事にした。
またまた企画好きなのだろう。ペンギンが秋の行楽をローに提案してきた。
「船長!ワの国では落ち葉を集めて薩摩芋ってのを焼くらしいですぜ!この島に、ワの国へ行ってその文化を持ち込んだヤツがいて、今や薩摩芋の名産地だとか!」
「ふーん。お前はそのテの情報に早いよなぁ〜企画部長って呼んでやろうか?それとも宴会部長?」
「よしてくださいよぉ!それよか焼芋パーティしましょうよ!ワの国には芋焼酎てのがあるらしいからきっと酒にも合いますよ〜」
「はいはい、じゃあ明日の夕方にでもやろうか。材料調達、場所は任せるぞ。もれなく連絡もよろしく」
「イェッサ!」
ペンギンはルンルンでその場を立ち去った。ローは半ば笑顔で見送る。
「ヤレヤレ・・・可愛い部下達の為だ。仕方ないな」

次の日の夕暮れ、空がオレンジに染まる中宴会が始まった。
落ち葉が降り積もる木立ちのそばで、あれやこれやいいながら芋を焼く。「中々焼けないなぁ〜」とペンギンがぼやく。シャチは慰めるようなツッコミを入れる。
「バカだなぁお前は〜じっくり焼くからウマイんじゃあねぇか」
「それもそうだな」
ペンギンは納得したらしく、チビりチビり酒を呑みつつ落ち葉を足した。
ローは木を背もたれに座り込みその光景を眺めた。落ち葉舞い散るこの季節は、人を感傷的にならせる。ほのかに燃え上がる炎は心を引き込む。焼芋大会を満喫している仲間達を見ていると、なぜだかローは暗い気持ちになった。自分の右手を眺める。そして、自問自答を始めた。
(今まで殺した奴等の人数は覚えていない。顔は何人か覚えている。でも殺しを後悔したことはない、一度も。遺族の涙も俺の心を動かすものとはならない。俺は死に慣れすぎたのだ。コイツらの事も、本当は俺の中では物同然なのか?俺はやっぱり偽善者なのか?コイツらは俺を信じて着いて来ているのにな)
その様子を少し離れてベポは見ていた。
(あぁ、キャプテンがまた悩んでるみたい。支えてあげたいけどな・・・熊と人間じゃやっぱり考えることは違うのかな)

突如、雰囲気ぶち壊しの歓声が上がる。

「おぉ〜焼けたぜ〜!見ろよこのホクホク感!」「やべぇ〜なんか違うもんも焼きたくなってきたなぁ!」
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