オリジナル(陽弥ライア)

□2.ワンダーランド
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“これ、どこまで落ちるんだよ。”

ニアはまだ落ちていた。
周りは木のようなもので、案外広い。

何もない。

ニアは落ちる時、ある話を思い出した。

「不思議の国のアリス。」

まさにこの通りだ。
しかし、それとは違い、今落ちている穴は何もない。
今ニアは背中から落ちている。
もう、どうしようもないので、身をまかせて落ちている。

ふと、ニアは空気が変わったことに気づいた。
なんとなくだが、変わった気がしたのだ。
無理をして下を見る。
しかし、何もないまま穴は続いている。

ニアは体を戻した。

しばらくすると、穴から出て急に変わった世界が現れた。
“おいおい。このまま落ちたらやばいだろ。”
そんなニアの心配をよそに、ニアの体は地上の上で一旦止まった。

「止まった。」

しかしそれもつかの間、止まったのは『地上の上で』だ。
それからすぐに地面に降りた。

「うへ。」

ニアは変な声をあげて、頭をさすりながら起き上がった。

「いたたた。ったくどうなってんだよ。」

ニアの目の前に広がったのは、見たこともない世界だった。

まず見えたのは、巨大な木達。
それから、不思議な色に輝く石や花。

ニアの背丈を越える花。

何もかもが、ニアのいた世界とは違っていた。

「すっげぇ〜」

目の前の光景に、思わず言葉が出る。

「でも、これからどうしような。」

ニアは今落ちてきた穴を見上げる。
まずそこから戻るのは無理そうだ。

「よしっ」

ニアは覚悟を決め、見たこともない世界へ足を進めた。
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