紅と蒼の伝説
□#5:油断大敵!!
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「忍たるもの――基本は気配を消し隠れるべし」
カカシは全員が隠れている位置におおよその目星をつけ、動き始めていた。
(よし、みんなうまく隠れたな……しかしシュリの気配がここまで分からないとは…オレも修業不足か…?)
愛弟子の成長ははっきり言って嬉しい。
しかし、師匠としてはたった2年でここまで来られると少々複雑だ。
そんな思いに耽っていた時、辺りに大きな声が響いた。
「いざ尋常に、勝〜〜〜〜〜〜負!!
しょーぶったらしょーぶ!!」
ナルトだった。
ドンッ、と構えた姿からは微塵も緊張感を感じない。
(あのウスラトンカチ……)
(ナルトってさ……術のキレとか発想はいいのになんかもったいないなって思う事あるんだよね)
サスケは呆れ、シュリは意外と真剣に分析に従事していた。
カカシは呆れたように溜息をついた。
「あのさァ……お前、ちっとズレとるのォ……」
「ズレてんのはその髪型のセンスだろ―――!!」
ナルトは攻撃を仕掛けるために走り出した。
(ま、ナルトがズレてるか否かは置いといて…カカシ先生の髪型のセンスがズレてるのは周知の事実だと思うんだよね…)
シュリは2人の一挙手一投足を慎重に観察しながら思う。
ようはどっちもズレてるんじゃないかと。
「忍戦術の心得その1体術!!……を、教えてやる」
スッ
カカシは腰に着けていたポーチに手を入れた。
ナルトはそれを警戒する。
(……体術って忍者組み手のことだよな…なのに…武器使う気か?)
しかし、そんなナルトの期待は大いに裏切られる。
バンッ
カカシが取り出したのは一冊の本だった。
タイトルは『イチャイチャパラダイス』。
「!?」
ナルトは我が目を疑った。
「……?どうした、早くかかって来いって」
本を読み始めたカカシは自分に向かってこないナルトに呼びかける。
「…でも…あのさ?あのさ?なんで本なんか……?」
「なんでって…本の続きが気になってたからだよ。別に気にすんな…お前ら…シュリ以外とじゃ本読んでても関係ないから」
シュリは離れたその場所を見て苦笑する。
(カカシ先生……またイチャパラ持って来たな…あれほど子供の前では読まないで下さいって頼んだのにもー……っていうか買い被りすぎ。私多分1人じゃ敵わないし)
第一あんなの子供の成長に対して害悪しか為さないではないか。
ちなみにシュリはあれの中身をのぞいた事はない。
……精神年齢は間違いなく今年で20歳のはずなのだが。
真面目の塊である彼女からすれば意味不明な小説である。
シュリがそんな思考を脳内で展開していると、ナルトがキレたらしく、カカシに襲い掛かろうとしていた。
「ボッコボコにしてやる……!!」
ダッ……!
「うおおお!!」