小ネタ.

□ひどく滑稽な物事に
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もし変態半兵衛シリーズの主人公が戦国時代の半兵衛の元へトリップしたら。





『ちょ、ここどこだし』



私が今いる場所は森。
うん。
森だね。
林じゃなくて森だから。
たしか教室で居眠りしてたんだけどな。



『なんかスカートにメチャクチャ泥がついているんですけど』



なんか枯れ葉とかついているし。
なんだよこれ。
助けにこいよ半兵衛。
ここぞと言う時に愛を感じられないんだよ!



『馬鹿半兵衛ぇぇぇ!!こんなときこそ助けにこいよ!!』

「僕は馬鹿ではないんだけどな」




な、なんか後ろから声がした!
ってかこの美声は………















『遅いよ半兵衛!なんでこんな変な森に連れて来たのさ!』

竹「いや、いきなり怒られても困るんだけどな。誰だい君は」



半兵衛を見ようと振り返った次の瞬間、

私の喉にヒンヤリとした何かが当てられた。



あ、
これって刀か。
思いの外、刀って冷たいんだ。
なんか展開が速すぎてついていけない。


ってか、見た目は半兵衛だよな。
でも違う。
同じ顔、同じ声をしていたけど違う。
まず着ている服がおかしい。
それに私を見る目が違いすぎる。
全く愛情とかを感じられない。



それよりさ、
これって、殺されるのかな。
完璧死亡フラグだよね。


半兵衛に、


私が、


殺されるフラグ。




竹「落ち着いているんだね」

『…………』

竹「いや。怖くて身動きが取れないのか」

『………』

竹「大丈夫だよ。今、何も感じられなくなるから」



刀がスローモーションで見える。
半兵衛のくせに生意気言いやがって。

でもさ、
半兵衛の刀って面白い刀だな。
どうせなら写メって半兵衛に送ってあげたい。


今から半兵衛に殺されるんだけど半兵衛の刀が面白いよ、
って。


あれ?
半兵衛半兵衛言い過ぎてわかんなくなってきた。

とりあえず血が飛び散るのだろうな。
地面に染み込むぐらいなら献血でもしておけばよかったね。
勿体ないじゃん。
ああ。
なんだか笑えるよ。







ひどく稽な物事に







ピタリととまる刃。
首筋を少し掠り血が落ちる。
半兵衛の目は見開かれ、何故笑っている、と言ったであろう。
口がそんなふうに動いた気がした。
今の私には草木がザワザワと鳴っている音しか聞こえない。
うまく働かない脳で考えてみる。
どうやら私は無意識に笑っていたらしい。


同時に理解したことがある。
私は自分が思った以上に半兵衛が好きらしい。


ここがどこだか、

いつなのか、

全くわからない状況なのに、

知っている貴方と違っていても、

どこか似ている貴方にならば、


殺されてもかまわないなんて、


心のどこかで思っている私がいる、とね。









――――――
戦国時代で半兵衛に会ったら本気で瞬殺は免れないと考えた結果。
でも主人公はこのあと城に連れてかれて、ワケを話してなんとなく戦国の半兵衛と話していくうちに戦国の半兵衛の好きな人が発覚。
超気になる主人公。
お節介なことを承知で二人をくっつけようと頑張るが途中で現代に帰ってしまう。
最後まで見届けられなかったことに後悔な主人公だが現代の半兵衛が頑張って機嫌を直していく。
で、実は、
戦国の半兵衛が好きな人は主人公の前世。
つまり戦国時代の主人公。
結局、どの時代でもラブラブしちゃうって話しにしたい。
ありがち王道だけどこういうのは嫌いじゃない。



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