過去の拍手
□オクラ、城下町に行く
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毛「何故、こんなに遅い」
出発して早々不満が出てきました。
「それは人間が馬を引いているんで、徒歩と同じ速さだからです」
毛「走れ捨て馬」
「初めて聞きました、捨て馬って言葉を」
毛「城下町にいつ着くのだ」
「夜までには着きます」
毛「遅い」
「だから徒歩と同じ速さなんですって」
毛「走らぬか貴様」
「嫌です」
捨て駒と捨て馬と一緒に城下町に行くことになった毛利様。
普通、お城から徒歩で城下町に行くのでしたら半刻もいりません。
しかし毛利様が城下町に行くと言い出したのが夕方近く。
さらに馬で行くの行かないのなどのくだりがありそこで一刻使ってしまったので城下町に着くのは、もはや夜と言っても過言ではありません。
毛「日輪が見えなくなったら我は寝る」
「ちょ」
毛「そろそろ瞼が降りてくる時間だ」
どうやら毛利様は眠いそうです。
捨て駒は困りました。
城下町に行くごときで野宿はしたくない、と。
大体、何故自分は馬などを引いているのだろう。
ってか戦に馬は必需品。
武将は馬に乗れて当たり前だろうに。
では毛利様は今までの戦をどうやって戦い抜いてきたのだろう。
色々な考えが浮かんできてしまい、毛利軍の行く末が不安になってきた捨て駒は考えるのを止め、今の状況をどうやって打破するかを考える方が先決だと自分に思い込ませました。
「とりあえずここから城下町に行くより城に戻った方が近いですね。どうなさいますか?」
毛「に……日輪が拝みたい……」
「ちょ、人の話を聞けし。眠いんでしたら一度お城に戻りませんか?」
毛「………」
「毛利様?」
毛「…………」
「ちょ、寝てやがるコイツ」
捨て駒は寝ている毛利様を落とさないように上手に馬に乗せてお城へ戻りました。
そしてこの捨て駒は後々、毛利軍で1、2を争うほどの馬の使い手になるのでした。
おしまい。