鈍色の空は重くて

遠くから聞こえる雷鳴に

胸がざわざわと不穏に軋む





「雨、降りそ…」





まだ帰らぬカカシが濡れてしまうのではないかと

それが心配で





「きゃっ!!」





一際色の濃い雲の中で

稲妻が天へと向かって走る

音もなく光ったそれは、今までに見たことがなくて

何か不吉な予感がして、不安が膨らんだ





「カカシ…」





音もなく光り続けたそれは、滝のような雨を呼び

煩いほどの雨音に、指先が冷えていくのがわかった





「ひゃあっ!!」





窓の外がフラッシュの様に光るのと同時に

地面を揺らすほどの衝撃音が耳をつんざく

どこか近くに落ちたらしい雷

もしかして、と不安がぐるぐると襲ってきた頃

ガチャリと玄関の鍵が開く音がした





「ただーいまぁ

いやーまいった、急に降るっ…!!

う…、どーしたの?くるしいよ?」





びしょびしょに濡れて帰ってきたカカシに

飛び込むように抱きついた





「こらこら。お前まで濡れちゃうでしょーよ

…って、もしかして雷が怖いの…?」





濡れるのなんて構わずに、ぎゅうぎゅうに抱きついて

激しい雷鳴に驚いて、さらに腕に力を込めた





「ははっ、雷が怖いなんてお前

俺、性質的に雷なのに」





くしゃくしゃと髪を撫でながら笑うカカシ



違うよ、雷が怖いわけじゃない

確かに大きな音と光には驚いたけど…





「カカシ…雷遁使いだから…

今の雷がカカシに落ちてたら、どうしようかと思った…」





なんとなく、避雷針みたいに

カカシ目掛けて落ちるんじゃないかって思ったの





「ばかだねぇ、お前

俺は雷なんて避けれるし、いざとなれば切れるんだから」


「でもでもっ…」


「心配してくれたの?ありがと」





そっと額に落された唇は冷え切っていて

あんな雨の中、雨宿りもせずに

急いで帰ってきてくれたのがわかった





「でも覚えといて

俺に雷を落せるのは、お前だけだから」


「わたし…?」





私、雷遁なんて使えないよ?





「冬になったら、俺のくちびるに雷落すんでしょ?」


「ぁ…」





それは去年の冬の思い出

静電気で雷落すんだって、言ってた





「それまでは俺、他の雷になんて打たれないから、安心して?」







『前触れ』





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お返事はRe:にて致します



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