書
□第0章
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“生まれてこなければ良かったのに”
生ゴミを見るような蔑んだ目をした兄に、吐き捨てられた一言。
アタマの中で反響する言葉に、
少年は小さく自嘲した。
容赦なく叩きつける雨、少年の金の髪からは幾度となく水滴が滴り落ちる。
――…俺だって、わかんねぇよ。
意味が在るのなら教えて欲しいと、
少年は思う。
無意味に生きるのは辛かった。
必要とされずに生きることも哀しかった。
色の無い毎日、“不良”というレッテルと引き換えに得た仮の居場所もいつか、近い将来無くなるだろう。
いっそ死んでしまおうか、彼は思う。
そう思って薄暗がりの黒い空を見上げる。
けど、このまま死ぬのは虚しすぎて。
あまりに虚しくて。
…何でもいい。
自分の生きる“証”が欲しい。
自分がココにいる存在している、
“証”が欲しい。
―――何でも、いいんだ。
少年は、空に向かって泣いた。
笑いながら、小さく泣いた。
――――BLACK DOLL