書
□第0章
1ページ/2ページ
――――――
『愛してる。』
少女は言う。
黒髪を長く伸ばした少女は、密かに睫毛を震わせて、大きな金色の瞳からぽたぽたと涙を溢しながら、言う。
『私は君を愛してる。ずっとずっと愛してる。』
少女は泣きながら微笑む。
そして、不安気に彼女を見つめる少年を抱き締める。
確かに温かい人のぬくもりを感じて、
諦めたように哀しく笑いながら、
『私が君を護るから。』
ハッキリと、強い意思が込めた口調で、
少女は誓う。
『君の為なら、どんな悪役にでもなってやる。世界の全てに、反逆してやる。
―――たとえ、君が私を忘れてしまっても。
』
ぎゅうっと、少年を抱く両手に力を込めて力無く震えた声で少女は言葉を紡ぐ。
『だから、
だから、嫌いにだけはならないで。』
少女は笑った。
可愛いらしい顔をくしゃくしゃに顔を歪めて、哀しく、哀しく笑った。