ネギまSS
□織姫と彦星
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いつもどおり、学校に向かって走っていると、
「織姫さんと彦星さんは、今日ちゃんと会えるんかなぁ」
「へ?」
朝イチでそんなことを言われては、間の抜けた返事しかでませんよ。
「なぁ、せっちゃんはどう思う?」
「えっと…」
返事に困っていたら、横から助け船が。
「まぁた、あんたは朝から何言ってんのよ」
はぁ…っとため息をつきながら、頭をポリポリ掻いていた。
こちらもどうしたものかと悩んでいる様子。
「でもな、一年に一回しか会えへんなんて、なんや心配になってまうやん?」
そう言う彼女はいたって真面目な御様子。
これは、何か気の聞いたことを言わなければ…
「きっと会えると思いますよ」
…こんな事しか言えないのか、私は。
「でも、今日雨やしなぁ〜。天の川も溢れてるんちゃうかなぁ…」
「はぁ」
彼女の悩みは絶えないらしい。
やっぱり間の抜けた返事しかできない私。
「ほら、遅刻しちゃうでしょ!」
またまた助け船。
ツインテールの彼女は、もう諦めたらしい。
さっさと走るスピードをあげていった。
「ちゃんと会ってくれへんと困るんやけどなぁ…」
呟くように彼女は言う。
私は、その言葉の意味を理解しきれなかった。
―そして、放課後。
結局、なぜ会ってくれへんと困るのかわからないまま、なんだかモヤモヤしていた。
「せっちゃ〜ん♪」
モヤモヤ発言をした本人登場です。
「お嬢様」
「帰ろ〜♪」
なんだかご機嫌な御様子。
「嬉しそうですね。何かあったんですか?」
「ん〜? なぁんもあらへんよ♪」
「そ、そうですか」
そんなに、にこやかに言われては…。
何があったんだろう?
またモヤモヤが増えてしまった。
「せっちゃん、帰るえ〜♪」
今にもスキップでもし始めそうな雰囲気だ。
モヤモヤしながら後に続く。
いつの間にか雨はあがっていた。
曇り空ではあるけど。
―帰り道。
「なぁ、せっちゃん知っとる?」
「なんですか?」
「織姫と彦星が七夕にちゃんと出会えると願い事叶えてくれるんやえ♪」
モヤモヤがひとつ消えた。
「そうなんですか」
「うちも叶えてほしいお願いがあんねん!」
「お嬢様は、何をお願いするんですか?」
すると彼女はニコっと歯を出して笑い、
「秘密や♪」
と悪戯っぽく言ってのけた。