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□A.C.E 1
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「ちょ、ちょっと貸せ!!」
『白鳳大皿、盗まれる』
ホマレから奪った新聞には、大きな字でそう記されていた。
「………」
タケトはその記事を熱心に読み始めた。
それらしき皿の写真と、その横に「盗まれた大皿の返還を涙ながらに訴える美術館の経営者でもある故・新堂一馬氏の妻」と書かれた一人の老婆が顔をハンカチで覆って泣いている写真が掲載されていた。
「タケちゃん?」
「どうした?ボーっとして」
「…なぁ、柏餅のばーちゃんの事、覚えてるか?」
タケトはようやく視線をあげると、カンジに問う。
「は?なにそれ」
カンジは野菜ジュースをすすりながら言った。
「ほら、じーちゃんの友達で陶芸やってた人いただろ?人間国宝とか言われてて、その人が作った陶芸がすげぇ高値で取引されてた人」
「…あぁ!確か新堂一馬だったな!でも何年か前に死んだんじゃなかったか?」
ホマレもタケトが持つ新聞のその記事に目を通していた。
「そうそう。で、奥さんが彼の遺品を集めて美術館を開いたとかなんとかって…あ!!!」
カンジは何かに気がついた。
「そうだ!あのときの柏餅くれたばーちゃんって…」
「…そう。このばーちゃんだよ」
タケトが新聞をほうり投げるようにテーブルへ置いた。