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□Happy Valentine!
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「お兄ちゃん!」

「おぉ、京子か。どうしたのだ?」

笹川了平は、妹の京子に呼ばれて立ち止まる。

「ハイ、これ。」

何かを渡してくる京子。それを了平は受けとる。

「ん?何だこれは?」

何やらきれいにラッピングされたものである。しかし了平には中身が分からなかった。

「え、お兄ちゃん今日はバレンタインデーだよ?」

「ばれんたいんでー?極限になんだ、それは?」

京子は驚いたようにいうが、了平はバレンタインデーが何かも分からないようだ。
京子が説明し始める。

「あのね、バレンタインには、チョコを色々な人にあげるのよ。」

「誰にチョコを渡すのだ?」

「えーと、お世話になってる人とか…。」

しかし、京子が言い終わる前に了平は
「そうか!ではオレもチョコを渡してくるぞ!」
と、叫び、家の外に走っていってしまった。

「あ、お兄ちゃん!」

しかし、了平はすでにいない。

「…バレンタインは女の子が好きな人にチョコを渡すっていう意味の方が大きいんだけどなぁ。」
京子はもう遅いが了平に言おうとしていたことを呟いた。




「しかし…。チョコを買ったはいいものの、誰に渡せばいいのだ?」

了平は呟く。とりあえずチョコを買ったが、誰に渡せばいいのか見当もつかない。
仕方なく、川原に座り、京子からもらったチョコを食べていたのだが、突然

「先輩!どうしたんスか?」

という声が後ろからした。了平が振り返ると

「おぉ、山本ではないか!」

同じ並中の後輩である山本武がいた。
山本は了平の隣に座る。

「奇遇だな!一体どうしたのだ?」

「部活の帰りッス。先輩こそどうしたんスか?」

「いや、チョコを買いに…おぉ、そうだ!山本にはいつも世話になっているな!」

了平は言い、買ったばかりのチョコを渡す。

「…なんでチョコ?」
「今日は、バレンタインデーだろう!」

了平は自信満々に言うが、色々勘違いしているので山本は苦笑する。

「先輩らしいッスね。」

「何がだ?」

了平がチョコを食べながら聞く。
それを見た山本が聞く。

「それ、おいしいッスか?」

「おぉ、極限にうまいぞ。」

了平は答え、またチョコを口にする。

「じゃあ、オレにもください。」

そう言うと山本は笑って

「先輩のチョコ、おいしいのな♪」

と言う。 了平は真っ赤になり叫ぶ。

「何をしているのだ!」

「別に、チョコもらっただけッス。」

上機嫌な山本はそれをかわす。

「お前は何で…!」

文句を言おうとした了平を無視して山本は、

「じゃ、また明日!」

と言い、了平の額に軽くキスをし、走っていった。

「……ッ!」

並盛町のバレンタインデーは平穏に過ぎていった。




あとがき
最近了平受けにハマッたのでそれ中心になると思わます。
こんな駄文最後まで読んでいただきありがとうございますm(__)m


by飛鳥

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