◇text◇

□嘘
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4月1日―
春休みに入り、やることもなく時間を持て余していた山本は朝のジョギングをしていた。
休みに入ってもトレーニングを怠らないのが運動部である。山本には少し不純な理由もあるが。
その時、
「あ、先輩!」
山本はお目当ての人物を見つけ、顔を輝かせて叫んだ。
「ん?おぉ、極限に山本ではないか!お前もトレーニングか?」
そこには山本の先輩である笹川了平がいた。
彼はまるで太陽のような笑顔を浮かべた。
しかし、すぐに何かを思い出したかのように顔を引き締めた。そして深刻そうな顔をする。
「あ、山本。お前はいつも俺のことを好きだ、と言ってくれるが…
俺はお前のことが嫌いだ。」
「え?」
山本が目を見開く。
「えっと…正直、迷惑だからもう放っておいてくれないか?」
了平がさらに続ける。山本は顔を真っ青にして、よほどショックをうけたのかよろめいている。
「じゃあな。」
そして了平は走っていった。山本は地面に座り込む。
(そっか…先輩は俺のこと嫌いなのな…。)

一方了平は…
(どうやら上手く騙されたようだな!)
心のうちでガッツポーズをしていた。
(山本、今日はエイプリルフールだぞ!さっきのは嘘だ。しかしあんなにあっさり騙されるとはな…)
最初は騙せたことに喜んでいたが徐々に心配になっていく了平。
(まさか本気で信じてないだろうな…。でもあいつのことだから信じかねない!誤解を解いてこなくては!)
了平は先程山本と話した場所へ走っていった。

「山本!」
河原に座ってぼんやりしていた山本はその声にピクリと反応する。山本が振り返ると、
「先輩…」
了平が立っていた。
了平は再び真面目な顔を作るといった。
「極限にすまん!さっきのは嘘だ!」
「え、ほ、ホントっすか!」
パッと顔を輝かせる山本。
「あぁ。…今日はエイプリルフールだぞ?嘘をついてもいい日だ。」
「なんだ…。よかった…」
山本がホッとしたように呟く。しかし何かに気づいたように了平にいった。
「誰かに教えてもらったんスか?」
(先輩がエイプリルフールを知ってるわけない…)
思わず思う山本。
「おう、ヒバリに聞いたぞ!その時に山本に『嫌いだ』と言ってみたらと言われたのだ!」
無邪気に笑いながら言う了平。
雲雀への恨みを募らせる山本。
しかし気を取り直して山本は聞いた。
「じゃあ、先輩俺のこと好きですか?」
「なっ!?」
とたんに真っ赤になる了平。それを見てニヤリとする山本。
「どうなんですか?」
「いやっ、その…。す、好きだぞ…。」
真っ赤になりながらボソボソと言う了平。
「俺も大好きです!」
山本はそういうと了平に抱きついた。
「おわっ、ちょ、な、何をするのだ!」
必死に離そうとするが山本は離そうとしない。そして山本は了平の耳元で囁いた。
「これからは嘘でも俺のこと嫌いだなんて言わないでくださいね?」
「〜っ!わかったから離さんか!」
「嫌です。」
「なっ!?」
こうして並盛町のエイプリルフールは平和に過ぎていった。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ はい、ひたすら山本と了平がイチャイチャしてる話ですいません。
あと駄文ですいません。

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